研究課題
VAMP7は膜融合を仲介する、いわゆるSNAREタンパク質である。膵β細胞においてVAMP7はオートファゴソーム形成に関与することにより、機能不全ミトコンドリアの除去に関わることが我々の研究により明らかになっている。昨年度までの研究では、オートファゴソーム形成におけるVAMP7の役割について明らかにした。そこで本年度は機能不全ミトコンドリアを基質としたオートファジー(マイトファジー)と糖尿病発症の関連について検討するために、昨年度作出した、膵β細胞にマイトファジーを可視化するプローブ(MTSプローブ)を発現するマウス(MTSマウス)を用いて、膵β細胞におけるマイトファジーが検出できることを確認する実験を行った。膵β細胞を鉄キレート剤(DFP)処理することによりマイトファジーが誘導されること、さらにリソソーム阻害剤存在下でDFP処理してもマイトファジーが検出されないことをMTSプローブ発現膵β細胞を用いて明らかにした。膵β細胞においてMTSプローブはミトコンドリアに局在し、マイトファジー誘導条件下でリソソーム内に移行することを抗Tom20抗体および抗LAMP1抗体を用いた免疫染色により確認した。さらに、マイトファジーに関連するAtg7やFIP200をノックダウンすると、マイトファジー誘導条件下においてもMTSプローブがリソソーム内へ移行できなくなることを見いだした。最後に、MTSマウスを高脂肪食で飼育し、肥満・高血糖状態を誘導したところ、膵β細胞におけるマイトファジーが増加したことより、糖尿病発症にマイトファジーが関連する可能性が明らかとなった。
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Molecular Metabolism
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