研究課題/領域番号 |
17K09848
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
後藤 広昌 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90622746)
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研究分担者 |
綿田 裕孝 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60343480)
宮塚 健 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60622363)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | α細胞 / グルカゴン分泌 / オートファジー / オートファジー不全 / Atg7 |
研究実績の概要 |
タンパク質分解経路の1つであるオートファジーは、免疫応答、発癌抑制といった病態において重要な役割を果たしている。これまで我々は、膵β細胞の恒常性維持にオートファジー機構が重要な役割を担うことを明らかにしてきた。一方、もう1つの膵内分泌細胞であるα細胞からのグルカゴン分泌異常が糖尿病の病態に関与することが報告されているものの、α細胞におけるオートファジーがこの病態にどのような役割を果たしているのか未解明である。 そこで本研究では、autophagy statusを可視化するためのレポーターマウス“GFP-LC3マウス“の膵島を顕微鏡下で観察することによりα細胞のautophagy statusを観察した結果、絶食によりα細胞内にGFP punctaが集積することを見出した。 次に、オートファジー機能維持に不可欠な遺伝子Atg7をα細胞特異的に欠失させた遺伝子改変マウス(αAtg7KOマウス)を作製した。オートファジーの選択的基質の1つであるp62に対する免疫組織染色では、α細胞特異的にp62陽性の凝集塊を認め、我々の目的通りα細胞特異的にオートファジー不全が誘導されていることが確認された。αAtg7KOマウスの膵島の一部ではα細胞の多層化を伴う過形成を認め、膵島の形態異常を認めた。Ki67陽性細胞数はαAtg7KOマウスにおいて有意に低下しており、またα細胞死の抑制を認めないことから、膵島の過形成はα細胞の自己複製の亢進や細胞死の抑制によるものではなく、α細胞新生の亢進が関与している可能性が示唆された。 一方、随時血糖、グルカゴン分泌、およbk体重の推移はαAtg7KOマウスと対象マウスとの間に有意な変化を認めなかった。以上の結果はα細胞におけるオートファジーの恒常性維持がα細胞容量の恒常性および膵島の形態形成に何らかの役割を果たしていることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、αAtg7KOマウスの表現型を解析し、論文として投稿した。現在reviewersのコメントに応えるべく、追加実験を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では4週齢のマウスにタモキシフェンを投与し、オートファジー不全を誘導した後、主に8週齢から20週齢までの間に表現型を解析した。今後、より長期のオートファジー不全が膵α細胞の恒常性にどのような影響を及ぼすのか明らかにするため、6ヶ月齢以降のαAtg7KOマウスの表現型を解析する。
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