研究課題
平成30年度の研究計画は、平成29年度に細胞実験において検証できたヒト乳歯歯髄幹細胞(SHED)の培養上清による神経庇護効果について糖尿病モデル動物を用いて検証することを目的としていた。糖尿病モデル動物としては、糖尿病罹病期間12-16週のSTZ誘発糖尿病マウスを用いた。このSTZ糖尿病誘発マウスは、神経病理や神経機能などにおいて糖尿病性神経障害を呈することがわかっている。このマウスの片足にSHED培養上清を投与し(ヒラメ筋内への筋注)、投与後1か月の時点での神経障害に関する評価を行った。SHED培養上清を投与することにより、糖尿病による触覚機能異常や低下した神経伝導速度は改善した。つまり神経に対する保護効果が示された。また同時に神経への血流について評価したところ、糖尿病状態で低下した毛細血管密度および坐骨神経血流の改善を認めた。SHED培養上清による神経障害の改善効果の一部は、神経への血流改善が関与している可能性も示唆された。以上より、細胞実験で検証されたSHED培養上清の神経庇護効果は、糖尿病モデル動物における神経障害においても検証できていると考えている。
2: おおむね順調に進展している
上記のように、平成30年度に予定された研究は順調に進んでいると考えている。平成30年度は、平成29年度に示されたSHED培養上清のin vitroでの効果を動物実験で検証することが主要目的で、その結果はある程度示されたものと考えている。
平成31年度は、今まで行ってきた細胞実験および動物実験で不足している項目をピックアップし、研究を継続する。特に生化学的あるいは神経の病理学的検討を中心に研究を推進し、論文作成及び完成につなげる。
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