研究課題/領域番号 |
17K09852
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
能宗 伸輔 近畿大学, 医学部, 講師 (90460849)
|
研究分担者 |
池上 博司 近畿大学, 医学部, 教授 (20221062)
川畑 由美子 近畿大学, 医学部, 准教授 (80423185)
馬場谷 成 近畿大学, 医学部, 講師 (10449837)
廣峰 義久 近畿大学, 医学部, 講師 (30460851)
伊藤 裕進 近畿大学, 医学部, 講師 (20460850) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 1型糖尿病 / 疾患感受性遺伝子 / 膵島破壊 |
研究実績の概要 |
1)ヒトにおける膵島破壊に関わる疾患感受性遺伝子の探索:1型糖尿病濃厚発症家系を4家系集積し、全エクソームシーケンス解析をおこなうことで家系単独の候補遺伝子変異を同定した。さらに同変異が欧米白人には欠損し日本人特有の変異であること、孤発例日本人1型糖尿病の発症とも関連していることを見いだし(リスクアリル頻度:患者群6.1% vs 対照群0.7%、p<0.0003, オッズ比9.07、95%CI3.05-26.93)、その成果について第60回日本糖尿病学会年次学術集会シンポジウム「1型糖尿病 update 2017」(名古屋、2017.5.20)、53rd Annual Meeting of European Association for the Study of Diabetes(Lisbon, Portugal, 2017.9.12)にて口演発表をおこなった。同時に更なる濃厚発症家系の集積をおこない日本人に特有の膵島破壊に関わる遺伝素因の解明を進行中である。一方、これまで既に同定されている疾患感受性遺伝子と各種臨床指標を独立変数として、1型糖尿病においてインスリン分泌能を規定する因子についても解析中であり、DDRB1*09:01-DQB1*03:03を有する群でインスリン分泌能が枯渇し、DRB1*15:01-DQB1*06:02またはDRB1*15:02-DQB1*06:01を有する群でインスリン分泌能が保たれる傾向を認めた。 2)マウスを用いた膵島破壊修飾モデルの作出:Mafa遺伝子ノックアウトNODマウスを作出し、膵島炎スコアと自然発症率を検討中である。またMafa遺伝子トランスジェニックNODマウスを作出中である。 3)膵島破壊の新規バイオマーカーの探索:1型糖尿病13名、2型糖尿病4名、膵性糖尿病4名、バセドウ病4名の血漿サンプルの集積を完了している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)については、濃厚発症家系の集積をおこない次世代シーケンサーを駆使して変異解析を行うアプローチが効果を上げ、孤発例においてもβ細胞破壊に関与する遺伝子を解明しつつあることから想定以上に順調に進行しているといえる。 2)については、最も時間の要する遺伝子欠損モデル動物の作出に成功し表現型解析を行っており、おおむね順調に進展している。 3)については、最も時間を要する新規発症1型糖尿病、バセドウ病、および症例数の限られている膵全摘後糖尿病の血漿サンプル収集を行っている段階であり、想定の範囲内と言える。
|
今後の研究の推進方策 |
1)については更に1型糖尿病濃厚発症家系の集積を継続しており全部で7家系のDNAサンプル集積が修了している。今後はエクソーム解析を随時行いさらなる候補遺伝子変異の絞り込みを行う予定である。 2)についてこれまでの解析を継続し表現型解析をおこなうとともに、過剰発現モデルであるトランスジェニックNODマウスの作成を継続する。 3)新規発症1型糖尿病、バセドウ病、膵全摘後糖尿病、2型糖尿病の血漿サンプルを継続するとともに、糖尿病モデル動物での血漿を採取し新規バイオマーカーをヒト・マウス両面から同定をおこなう。
|