研究課題
1)ヒトにおける膵島破壊に関わる疾患感受性遺伝子の探索:1型糖尿病濃厚発症家系を10家系集積し、全エクソームシーケンス解析をおこなうことで候補遺伝子変異の探索をおこなった。その結果、一般集団(健常対照者)においてはほとんど認められない稀なHLAハプロタイプ(1.8%)DRB1*08:02-DQB1*03:02(DR8)が、濃厚発症家系においては突出して高頻度であることが判明し家族内集積に関与することが示唆された(21.2%、オッズ比15.0、p=1.1x10-9)。また1家系における稀なnon-HLA変異が欧米白人には欠損し日本人特有の変異であること、孤発例日本人1型糖尿病の発症とも関連していることを見いだし(リスクアリル頻度:患者群6.1% vs 対照群0.7%、p<0.0003, オッズ比9.07、95%CI3.05-26.93)、また複数の家系に共通して1型糖尿病の発症に関与する遺伝子領域を連鎖解析にて同定し、その成果について第56回日本糖尿病学会近畿地方会教育講演1.「1型糖尿病 Update2019」(大阪、2019.11.9)にて口演発表をおこなった。現在、更に2家系の濃厚発症家系を新規に見いだし解析中である。2)マウスを用いた膵島破壊修飾モデルの作出:Mafa遺伝子ノックアウトNODマウスを作出し、8週齢における膵島炎スコアを検討した結果、ノックアウトマウスにて有意に膵島炎スコアが有意に高いが、驚くべきことに1型糖尿病の累積発症率は抑制されること判明し(95.6% vs. 5.6%, p<0.0001)、膵島破壊抑制に寄与することが判明した。3)膵島破壊の新規バイオマーカーの探索:1型糖尿病31名、2型糖尿病9名、膵性糖尿病4名、バセドウ病4名の血漿検体の集積を完了しmiRNA解析をおこなった結果、新規発症1型糖尿病(インスリン微小残存)症例に特異的な22miRNA, 1型糖尿病(インスリン完全枯渇)症例に特異的な20miRNA, またこの両者に共通の14miRNAを用いたスクリーニングパネルを作出した。現在このカスタムパネルを用いて再現性の確認を行っている。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 3件、 招待講演 10件) 図書 (2件)
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