研究課題
核内ホルモン受容体であるPPARγの転写共役因子であるHELZ2に結合するタンパクとして同定された転写因子/スプライシング因子thyroid hormone receptor-associated protein 3 (THRAP3)の生体内における機能を解析する目的で、平成29年度は、私たちが樹立したThrap3LoxP/LoxPマウスを、Jackson Laboratoryより入手したアディポネクチン遺伝子プロモーターによってCre遺伝子の発現が制御されるAdipoq-Cre-/+マウス、あるいはアルブミン遺伝子プロモーターによってCre遺伝子が制御されるAlb-Cre-/+マウスと交配し、白色脂肪組織および肝臓特異的Thrap3 ノックアウトマウスの作成を行った。概ね予定通り各臓器の特異的ノックアウトマウスが得られ、標準餌下で飼育を行って解剖学的表現系(肉眼的・光学顕微鏡的異常の有無、臓器重量など)の解析を行ったところ、肉眼的には明らかな奇形や異常がないことを確認した。さらに現在、KOマウスの代謝学的表現系(摂餌量、体重、運動量、耐糖能、血清脂質測定、エネルギー消費量測定、肝臓中性脂肪含量測定、脂質代謝関連遺伝子群の発現変化の定量など)の異常の有無に関して解析を進めている。また、それぞれのKOマウスの脂肪組織や肝臓よりtotal RNAを抽出して、マイクロアレイ解析、およびRNAシーケンスに提出し、コントロールマウスと比較して発現レベルおよびASパターンに変化を認める遺伝子群を抽出する準備を行っている。
2: おおむね順調に進展している
ノックアウトマウスの作成とその表現系解析は、概ね順調である。
平成30年度以降は、上述のようにKOマウスの代謝学的表現系の解析、および白色脂肪組織および肝臓における遺伝子発現と選択的スプライシング(AS)パターンの変化の確認を行ってゆく。標準餌で解剖学的/代謝学的な異常を認めない場合には、60%高脂肪食を負荷して同様の解析を行う。高脂肪食を負荷したマウスの性腺周囲脂肪組織ならびに肝臓よりtotal RNAを抽出し、マイクロアレイ解析およびRNAシーケンスに提出し、コントロールマウスと比較して発現レベルないしASパターンに変化を認める遺伝子群を抽出する。変化を認めた遺伝子群のGene ontology解析やPathway解析を行い、どのような生体内機能に関与する遺伝子群の発現が変化しているのか解析し、またどのようなASの変化(exon skipping, intron retention, alternate 5’ or 3’ splice site, mutually exclusive exonなど)が起こっているのか確認してゆく。
前年度予定していたマイクロアレイの準備が間に合わず次年度にずれ込んだため。
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