研究課題
核内受容体PPARγの転写共役因子HELZ2に結合する蛋白として私達が同定したthyroid hormone receptor associated protein 3 (THRAP3)の生体内における機能を解析する目的で、私達が近年樹立したThrap3LoxP/LoxPマウスを、Jackson Laboratoryより入手したアディポネクチン遺伝子プロモーターによってCre遺伝子発現が制御されるAdipoq-Cre-/+マウス、あるいはアルブミン遺伝子プロモーターによってCre遺伝子が制御されるAlb-Cre-/+マウスと交配し、白色脂肪組織および肝臓特異的Thrap3 ノックアウト(KO)マウスの作成を行った。出生したマウスのゲノタイピングの結果、各臓器特異的KOマウスの出生数が予測されるより明らかに少なく、一部のThrap3 KOマウスは胎生致死することが示唆された。定量的PCR法の結果、出生したKOマウスの各臓器におけるThrap3遺伝子発現は予測通り消失していた。これらマウスを標準餌下飼育を行い解剖学的(肉眼的・光学顕微鏡的異常の有無、臓器奇形や臓器重量など)、代謝学的表現系の解析を行った。その結果、2系統のKOマウスにおいてコントロールマウスに比べて明らかな解剖学的異常が認められず、更に摂餌量、体重増加量あるいは耐糖能にも異常を認めなかった。そこで白色脂肪細胞特異的KOマウスに離乳後より脂肪含量60%の高脂肪食を16週間負荷して同様の検討を行った結果、KOマウスでやや体重増加不良を認めたものの、個体数の問題もあり統計的な有意差は得られず、脂肪重量や白色脂肪細胞および肝臓におけるPparγ遺伝子発現量、および耐糖能に異常を認めなかった。以上より、今後胎生致死の原因解明および白色脂肪組織や肝臓においてThrap3の機能を代償する機構の同定が必要と考えられた。
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J Clin Endocrinol Metab
巻: 104 ページ: 6229-6237
10.1210/jc.2019-00657