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2017 年度 実施状況報告書

ライソゾーム酸性リパーゼによる冠動脈疾患進展の機序解明と制御

研究課題

研究課題/領域番号 17K09859
研究機関金沢大学

研究代表者

野原 淳  金沢大学, 保健管理センター, 助教 (50313648)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードLysosomal acid lipase / 家族性高コレステロール血症 / 糖代謝
研究実績の概要

高頻度LIPA変異が家族性高コレステロール血症に与える影響について検討を行った。LIPA遺伝子T16P保持者においてはHDL-C/apoAI比が有意に高値であり、同時にnon-HDL-Cが低値である。LIPA変異が作用を及ぼすのは細胞内におけるコレステリルエステルの分解であり、細胞内においての作用はオキシステロール受容体であるLXRを介している可能性がある。今回の検討結果はLXRはHDLの成熟に作用する核内受容体であることを実際に指し示している結果と考えられる。この結果からさらにLXRおよびこれと対をなして作用しているとされるFXRとの相互作用を検討する必要がある。
また糖代謝との関連についての検討において、LIPA遺伝子T16P保持者は糖負荷試験におけるinsulinogenic indexが高値である。これは膵β細胞におけるLALの作用が示唆される結果である。膵β細胞において過剰なコレステリルエステル蓄積は細胞毒性がある可能性があり、LIPA変異の影響は生涯にわたるため、長期のコホートにおける影響を検討する予定であり注視される結果である。また共同研究している大学院生がANPTL8が糖代謝脂質代謝両面に影響をもたらすことを報告しており、LIPAとの相互作用を検討する。
CESDスクリーニングを高脂血症者300例に行い、LAL欠損症ヘテロ接合体と考えられる症例はあるものの、現時点では完全欠損患者は同定されていない。白人において高頻度変異が報告されているが、人種差がある可能性があり、日本人においては白人ほど頻度は高くない可能性がある。しかしヘテロ接合体でもLAL活性はおよそ半減しており、本邦における冠動脈リスクとしてのLAL活性検討が必要と考えられる結果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画に準じて患者エントリーが予定通り進んでおり、臨床像について検討できる準備がなされているといえる。

今後の研究の推進方策

さらに患者エントリーを重ねて研究の順調な遂行に努める。また近年新たな脂質異常症治療薬が臨床で用いられるようになっているが、これらの薬物療法によりLAL活性がどのように変化しているか、様々な治療による影響を検討する。膵β細胞において過剰なコレステリルエステル蓄積は細胞毒性がある可能性があり、LIPA変異の影響は生涯にわたるため、長期のコホートにおける影響を検討する予定であり注視される結果である。また共同研究している大学院生がANPTL8が糖代謝脂質代謝両面に影響をもたらすことを本年度報告しており、LIPAとの相互作用を検討する。

次年度使用額が生じた理由

情報収集および成果発表として旅費を計上しているが、情報収集としてH29年度に予定していたアメリカ心臓病会議で予想された発表がH30年度に行われる学会にて発表されることとなり、H30年度の学会に参加する方が有益と判断されたため。このためH30年度の成果発表と情報収集を兼ねて学会参加費として使用する計画とする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] High frequency of type 2 diabetes and impaired glucose tolerance in Japanese subjects with the angiopoietin-like protein 8 R59W variant.2018

    • 著者名/発表者名
      Liu J, Yagi K, Nohara A, Chujo D, Ohbatake A, Fujimoto A, Miyamoto Y, Kobayashi J, Yamagishi M.
    • 雑誌名

      J Clin Lipidol

      巻: 12 ページ: 331-337

    • DOI

      doi: 10.1016/j.jacl.2017.12.011

    • 査読あり
  • [雑誌論文] sLR11 as a novel predictor of vascular calcification.2017

    • 著者名/発表者名
      Nohara A.
    • 雑誌名

      Atherosclerosis

      巻: 265 ページ: 242-243

    • DOI

      doi: 10.1016/j.atherosclerosis.2017.07.025

  • [雑誌論文] Assessments of Carotid Artery Plaque Burden in Patients With Familial Hypercholesterolemia.2017

    • 著者名/発表者名
      Tada H, Kawashiri MA, Okada H, Nakahashi T, Sakata K, Nohara A, Inazu A, Mabuchi H, Yamagishi M, Hayashi K.
    • 雑誌名

      Am J Cardiol

      巻: 120 ページ: 1955-1960

    • DOI

      doi: 10.1016/j.amjcard.2017.08.012.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impact of clinical signs and genetic diagnosis of familial hypercholesterolaemia on the prevalence of coronary artery disease in patients with severe hypercholesterolaemia.2017

    • 著者名/発表者名
      Tada H, Kawashiri MA, Nohara A, Inazu A, Mabuchi H, Yamagishi M.
    • 雑誌名

      Eur Heart J

      巻: 38 ページ: 1573-1579

    • DOI

      doi: 10.1093/eurheartj/ehx004

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] COMMON FUNCTIONAL VARIANT LIPA T16P AFFECTS HDL COMPOSITION AMONG PATIENTS WITH HETEROZYGOUS FAMILIAL HYPERCHOLESTEROLEMIA2017

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Nohara, Masa-aki Kawashiri, Yoshikatsu Eto, Miwa Fujisaki, Hayato Tada, Mie Yoshida, Mika Mori, Chiaki Nakanishi, Kunimasa Yagi, Akihiro Inazu, Masakazu Yamagishi, Hiroshi Mabuchi
    • 学会等名
      European Atherosclerosis Society
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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