研究課題
【増殖誘導刺激(Ox-LDL、GM-CSF、M-CSF)によるSkp2発現およびSkp2活性の定量】マクロファージにおいてSkp2 によりp27kipのタンパク発現が調整されていることを証明するためにマウス腹腔マクロファージおよび骨髄由来マクロファージを用いて増殖誘導刺激(Ox-LDL、GM-CSF、M-CSF)によるSkp2発現およびp27kipのタンパクレベル(western blot法)・mRNAレベル(RT-PCR法)での発現とMφ増殖能との関連を解析した。・細胞増殖の評価を、[3H]チミジン取り込み法、細胞数算定法を用いて行い、増殖誘導刺激(Ox-LDL、GM-CSF、M-CSF)により有意に細胞増殖が誘導された。・細胞周期の評価を、Propidium iodideを用いたFlow cytometry法で行い、増殖誘導刺激(Ox-LDL、GM-CSF、M-CSF)により優位に細胞周期G2/M期の細胞が増加していた。・増殖誘導刺激(Ox-LDL、GM-CSF)による細胞増殖下では Skp2の発現をタンパクレベル(western blot法)・mRNAレベル(RT-PCR法)で定量化し、Skp2およびp27の発現が増加していた。現在は、AMPK活性化剤AICARおよびアデノウイルスベクターを用いて恒常活性型constitutively active mutant(T172D) -AMPKα(CA-AMPK)、優位抑制型dominant negative mutant(T172A)-AMPKα(DN-AMPK)を過剰発現することでAMPK活性制御を行い、増殖抑制状態での上記評価を行っている。またSkp2のユビキチン化とマクロファージ増殖能との関連を解明するためp27kip抗体で免疫沈降を行い、ユビキチン抗体でユビキチン化を定量化することでSkp2のユビキチン化を評価している。
2: おおむね順調に進展している
培養細胞を用いた実験を中心に進め、上記の通り仮説を裏付ける結果が出ている。
・各種培養細胞を用いてMφ増殖時(または増殖抑制時)のSkp2およびp27kip発現を定量化することで、Mφ細胞周期制御におけるSkp2-p27kip経路の役割についてin vitroの実験系で評価する。・アポE欠損マウスの動脈硬化巣におけるSkp2およびp27kipの発現を定量化することで、in vivoの実験系で動脈硬化症発症・進展におけるSkp2-p27kip経路の関与について解析する。(1)AMPK活性化剤をアポE欠損マウスに投与してAMPK活性とSkp2発現との関連について生体内で検討する。(2)Mφ特異的テトラサイクリン誘導性Skp2トランスジェニックマウスとアポE欠損マウスを交配し、動脈硬化症の程度を評価する。(3)Skp2欠損マウスの骨髄をアポE欠損マウスに移植し、動脈硬化症の程度を評価する。以上の方法でMφ増殖におけるSkp2-p27kip経路の全容を明らかにし、動脈硬化症の治療標的となり得るかを検討する。
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Arterioscler Thromb Vasc Biol.
巻: 38 ページ: 994-1006
10.1161/ATVBAHA.117.310320