研究課題
【増殖刺激およびAMPK活性制御によるSkp2発現およびSkp2活性の定量】マウス腹腔マクロファージを用いて、細胞増殖の評価を、[3H]チミジン取り込み法、細胞数算定法を用いて行った。増殖誘導刺激(Ox-LDL、GM-CSF、M-CSF)により有意に細胞増殖が誘導された。細胞周期の評価を、Propidium iodideを用いたFlow cytometry法で行った。増殖誘導刺激(Ox-LDL、GM-CSF、M-CSF)により優位に細胞周期G2/M期の細胞が増加していた。AMPK活性化剤AICARおよびアデノウイルスベクターを用いて恒常活性型constitutively active mutant(T172D) -AMPKα(CA-AMPK)、優位抑制型dominant negative mutant(T172A)-AMPKα(DN-AMPK)を過剰発現することでAMPK活性制御を行い、増殖誘導刺激(Ox-LDL、GM-CSF)によるSkp2発現およびp27kipのタンパクレベル(western blot法)・mRNAレベル(RT-PCR法)で定量化し評価を行った。増殖刺激で増加したSkp2の発現はAMPK活性誘導により部分的に抑制された。p27kipは元々の発現が弱く増殖刺激での変化は観察されなかったがAMPK活性誘導によりその発現が増加した。【動脈硬化モデルマウスを用いた動脈硬化病変局所におけるSkp2-p27kip経路および細胞周期の評価(in vivo)】動脈硬化モデルマウス(Apo E KOマウス)にhigh fat dietを行い動脈硬化症モデルマウスとして血管病変局所でのp27kipおよびSkp2の発現評価をするために、大動脈弁輪部の連続切片を用いてMφの表面抗原マーカー(CD11b)と細胞周期進行のマーカー(PCNA)およびp27kip抗体Skp2抗体で多重免疫染色を行った。動脈硬化弁輪部で増殖マクロファージに一致したSkp2の発現を認めた。
3: やや遅れている
培養細胞および動脈硬化モデルマウスを用いた実験を進め、上記の通り仮説を裏付ける結果が出ている。
・アポE欠損マウスの動脈硬化巣におけるSkp2およびp27kipの発現を定量化することで、in vivoの実験系で動脈硬化症発症・進展におけるSkp2-p27kip経路の関与について解析する。・Whole body Skp2欠損マウスの骨髄を9.5 Gy照射アポE欠損マウスに静注することでSkp2欠損骨髄移植アポE欠損マウスを作製する。このマウスは骨髄由来細胞のSkp2が欠損している為、動脈硬化症病変局所におけるMφのSkp2も欠損していると考えられる。・Skp2欠損骨髄移植アポE欠損マウスで、動脈硬化疾患モデルであるアポE欠損マウスにAICARを8~10週間の連日皮下投与後sacrifyし、腹腔Mφの増殖誘導刺激に対する反応やSkp2発現およびSkp2活性の変化を評価し、コントロールマウスと比較検討する。・動脈硬化病変のサイズを定量化し動脈硬化巣におけるp27kipおよびSkp2の評価し、コントロールマウスと比較検討することでSkp2の動脈硬化症の発症・進展に及ぼす影響を解明する。
残額わずかで次年度に使用する。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Arterioscler Thromb Vasc Biol.
巻: 38(5) ページ: 994-1006
10.1161/ATVBAHA.117.310320.