研究実績の概要 |
PPARには糖代謝に関連するPPARγと脂質代謝に関連するPPARαと肥満に関連するPPARβ/δ、以上3種類がある。さらにPPARγには2種類存在し、脂肪誘導に関連しないPPARγ1と、脂肪誘導に関連するPPARγ2がある。そして、それぞれ、異なるプロモータによりその発現が調整せれている。PPARγ1のプロモータは、エクソンAから、PPARγ2のプロモータは、エクソンBから開始されるといわれてきた。しかしながら、我々は以前から報告されてきた脂肪誘導に関連しないといわれているPPARγ1プロモータのエクソンAと異なるプロモータであるエクソンCから転写される、新規スプライシングバリアント(SV)を発見し、脂肪誘導に関連することを明らかにした(Y Takenaka, I Inoue: PLoS One 8:e65583,2013)。また、この新規SVが時計遺伝子(Inoue I et al. J Atheroscler Thromb. 12:169-74, 2005)と関わることを見出し、PPARγ1のプロモータであるエクソンCのKOホモマウスはSV129マウスおよびC57Blackマウスの遺伝背景が異なると胎生致死あるいは正常に成長・成熟することに違いが生じることが判明した。つまり、1)SV129マウス(SV129)の遺伝背景でのエクソンCのKOホモマウスを樹立したところ胎生致死であり、2)C57Blackマウスの遺伝背景でのエクソンCのKOホモマウスを樹立したところ胎生致死を認めず正常に成長・成熟する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は、以前核内受容体のperoxisome proliferator-activated receptor (PPAR)γと時計遺伝子であるCLOCK/BMAL1 が関わりのあることを国内外で初めて報告した(Inoue I, et al. J Atheroscler Thromb. 12:169-74, 2005; Nakamura K, Inoue I, et al. PPAR Res. doi: 10.1155/2008/348610, 2008)。その後、Rev-Erb βの関わりについても報告してきた(Yang F, Inoue I, et al. J Atheroscler Thromb. 20:267-76, 2013)。加えて我々は以前から報告されてきたPPARγ1と異なるプロモータであるエクソンCから転写される、新規スプライシングハリアント(SV)を発見(S Takahashi, I Inoue, et al. J Atheroscler Thromb. 17:73-83, 2010)し、PPARγ2と同様脂肪細胞分化誘導に関わることを証明した(Y Takenaka, I Inoue: PLoS One 8:e65583,2013)。2018年度までに、我々が見出した時計遺伝子に関わるPPARγ1のプロモータであるエクソンCから転写されるスプライシングハリアント(SV)のKOホモマウスを樹立した。
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