研究課題
①ビリルビンのin vitroにおける取り込み実験系の構築と評価:Slc22a18のノックアウトマウスの解析によりビリルビン(Bil)をSlc22a18の有力な基質候補と考え、取り込み実験系の構築と評価を行った。まず、 doxcycline誘導性のSlc22a18発現アデノウィルスをH2.35細胞にUnaG(ビリルビンと特異的に結合し蛍光を発する蛋白)と共発現させたところ、ビリルビン存在下でSlc22a18発現群では蛍光強度が増加することが確認され、間接的ではあるが、Slc22a18がin vitroにおいて細胞内へのビリルビンの取り込みを増加させることが示唆された。次に、oocyteを用いたSlc22a18の強発現系を構築し、Slc22a18の強発現下で[3H] Bilを培養液中もしくはoocyte内に加えて内外の放射線量を測定したが、予想に反して有意な放射線量の変化を認めず、Slc22a18単独発現下でBilが取り込みや排出の直接の基質となる可能性は低いことが示唆された。②ビリルビン以外のSlc22a18の生理的内因性基質の探索:CE-TOFMS法によるメタボローム解析を行い89物質が同定され、とくに統計学的に有意であった3化合物(アルギニン、Gly-Leu、IMP)およびcholic acidとisethionic acidに着目したが、これらのうちSlc22a18の強発現および発現抑制群における化合物濃度変化と一致した挙動を示す物質は認められなかった。③基質候補物質クロロキンに関する検討:既報によりSlc22a18の基質候補物質としてクロロキンが報告されている。そこで、oocyteを用いて確立したSlc22a18の強発現系を利用して実験を行ったが、既報の結果とは異なり、Slc22a18の発現はクロロキンの取り込みと排出のいずれにも影響を与えない結果が得られた。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Arterioscler Thromb Vasc Biol
巻: 39 ページ: 373-386
10.1161/ATVBAHA.118.311931