研究課題
我々はこれまでに、細胞内制御性プロテアーゼファミリーの一員であるカルパイン-6がCwc22エキソン接合部複合体の機能不全を誘発し、マクロファージの形質転換を介して動脈硬化症を増悪化させることを明らかにした(Miyazaki et al. J Clin Invest. 2016)。昨年度までに、脂質異常症モデルLdlr欠損マウスにおいて、Cwc22のヘテロ欠損により動脈硬化症の増悪化が検出された。本年度は肥満症モデルマウスの脂肪間質を用いた次世代シーケンスにより検出された脂質代謝関連スプライスバリアントXおよびYの解析を行った。肥満症モデルマウスの骨髄および脂肪間質よりF4/80陽性細胞を単離し、スプライシングを解析したところ、両遺伝子とも骨髄でのスプライシングは低い割合であったが、脂肪間質ではこれが亢進していた。したがって、肥満症の発症にともない、脂肪間質の環境に依存して単球/マクロファージ系のmRNAスプライシングが亢進される可能性が示唆される。一方、Xに関してはカルパイン-6欠損でmRNA発現量自体の増加が認められたが、Yについては認められなかった。Xに関しては、遺伝子配列のバリエーションが5’UTRに存在するため、これが転写/翻訳の過程に何らかの影響を及ぼしている可能性がある。今後両遺伝子のスプライスバリアントをマクロファージ細胞株に導入し、機能についても精査したい。さらに、昨年度までにCwc22のホモ接合体が胎生致死であることが判明したことから、今年度はCwc22 floxマウスの作出を行い、これをLdlr欠損マウスならびにLysm-Creマウスと交配し、マクロファージ特異的Cwc22欠損マウスの作出を行った。今後上記コンディショナルノックアウトマウスにて表現型解析を実施する予定である。
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