カルパスタチンは、カルシウム依存性タンパク質分解酵素であるカルパインの内因性阻害物質である。カルパスタチンを血管内皮特異的に過剰発現したマウスでは、皮膚の創傷治癒が遅延し、ケラチノサイト層の菲薄化、細胞外マトリックスの減少、筋線維芽細胞の減少を認めた。また血小板由来増殖因子B(PDGF-B)やPDGF-β受容体の発現低下を認め、PDGF-BB塗布による創傷治癒促進効果は消失していた。以上より、血管内皮細胞のカルパインはPDGF-β受容体シグナリングを介して創傷治癒と組織の線維化を促進していることが示唆された。
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