超高齢化が進む日本の社会背景の中、高齢者特有の疾患、例えば骨粗鬆症が臨床の現場で増加し、実生活で高齢者の生活の行動範囲を狭め、また介護する家族の負担も増やしてきている。したがって、こうした疾患の新規の病因や治療法を明らかにすることは、今後増大する社会的ニーズを考えると重要である。近年、 ゲノムワイド関連解析(GWAS)は遺伝子と疾患の特性を関連付けてきた。しかし、マイクロ(mi)RNAなどの遺伝子コードに関与しないRNAがこの遺伝子と疾患の特性 にどのように関与しているのかはまだよくわかっていない。本研究は、GWASデーターベースから得られた骨密度関連の一塩基多型の近隣に由来するmiRNAをゲノムワイドに同定し、これらの骨代謝、特に骨粗鬆症の病態に寄与するメカニズムを解明することを研究目的とした。 課題1.骨密度関連SNPsの近隣に由来し、骨密度を制御する標的遺伝子を持つ可能性が示唆された5種のmiRNAsの評価を行う、については、ヒトの骨密度関連のGWAS研究論文から385個の一塩基多型を抽出し、それぞれの一塩基多型が内在する136個の遺伝子と、一塩基多型の近隣に由来する37個のmiRNAsを同定した。それら37個のmiRNAsの標的遺伝子を各種データーベースにて検討し、骨粗鬆症関連標的遺伝子でかつ、疾患に関連して作用機序が論文報告されているもの5種を抽出し、今後の研究の優先順位を検討した。次いで、各種System Biological Databaseを用いて、抽出したSNPs、その内在遺伝子、タンパク質の進化、機能性特徴について網羅的解析を行った。課題2については、実験室での研究が遅延していることから、GWAS meta-analysisによる網羅的解析方法のシステム構築の準備も検討した。
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