視床下部-下垂体-甲状腺系(H-P-T axis)は絶食や環境変化に対してエネルギー消費を調節する代謝のホメオスターシスに重要であり、特に視床下部室傍核の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)がセンターとされてきた。しかしその直接的証明は出来ておらず、その他の視床下部神経核に分布するTRH の関与も明らかでない。今回視床下部の特定の神経核やシグナルに特異的なTRH欠損マウスを作製し、H-P-T axis を調節するTRH の存在部位と意義を証明し、TRH によるエネルギー代謝調節機構を解明していくことを目標とした。 TRH flox マウス(TRHKO loxP/loxP)を利用しCre-loxP システムを使って、視床下部発現のSim1-Creマウスとの掛け合わせによる視床下部特異的なTRH コンディショナルノックアウトマウスを作製した。血清TSH、FT4、FT3 の測定、免疫組織化学を用いて視床下部内のTRH蛋白や定量的RT-PCRによりmRNA発現を確認し、H-P-T axis に関わる視床下部TRHの重要性を確認した。 さらに、膵β細胞発現のRIP-Creマウスとの掛け合わせを行い、膵内分泌腺ランゲルハンス島特異的なTRHノックアウトマウスを作製し、成長、発達の異常の有無を観察、血糖値やインスリン分泌、耐糖能異常との関係を解析した。 視床下部特異的TRHノックアウトマウスの結果については学会発表を行っている。
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