研究課題
申請者らはこれまでにC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の強力な骨伸長促進作用について報告してきた。CNPは成長板軟骨を強く伸長させることにより骨伸長を促進するが、その形態学的な本態や分子カスケードについては解明されていない。本研究では、マウス長管骨の器官培養を用いて、まず二光子顕微鏡による4D(3D+時間軸)イメージング解析によりCNPの作用の本態を形態学的に解明する。さらに、器官培養を用いて、CNPの添加による発現遺伝子の変化と、様々な細胞内シグナル経路の阻害剤の添加による発現遺伝子の変化を比較することにより(シグネチャー解析)、CNPの成長板軟骨伸長促進作用のシグナル伝達経路(分子カスケード)を同定する。最後に、同定されたシグナル伝達経路の修飾による変化を先述の器官培養の4Dイメージング系で検討し、CNPによる変化と比較して、下流シグナルとしての整合性を検証する。平成29年度は、二光子蛍光顕微鏡を用いた4DイメージングによるCNPの成長板軟骨伸長促進作用の形態学的解析について、CGA-EGFPマウス(グリーンマウス)の胎生16.5日胎仔より尺骨を摘出し、骨幹部をゲルで固定した状態で器官培養(静置培養)をおこない、インキュベーター二光子蛍光顕微鏡(Olympus LCV110-MPE)を用いてタイムラプスイメージング(微速度撮影)により撮影する系を確立した。確立した4Dイメージング系においてCNP(10-7 M)を添加し、CNPの成長板軟骨伸長促進作用を確認したうえで、上述の1)軟骨細胞の動き、および2)細胞質・基質の変化に対するCNPの作用を解析した。
2: おおむね順調に進展している
研究の進捗に特に問題もなく、ほぼ順調に進展している。
当初の計画に基づいて、CNPの成長板伸長促進作用に関するメカニズムについて解析を進め、そのシグナル解析に関する検討を開始する予定である。
今年度計画ではマウス胎仔長菅骨器官培養のイメージング系の確立として、先端バイオイメージング支援プラットホーム(ABiS)の支援も受けられたため、次年度使用額が生じた。次年度以降DNAアレイ解析等での多額の出費が見込まれるため、そちらを充填する計画である。
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PROS ONE
巻: 13 ページ: e0194812
10.1371/journal.pone.0194812
Journal of Clinical Investigation
巻: 127 ページ: 4136, 4147
10.1172/JCI94912