申請者らはこれまでにC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)が成長板軟骨における内因性のautocrine/paracrine因子として強力に骨伸長を促進することを報告してきた。本研究はマウス胎仔長管骨器官培養系を用いてイメージング技術によりその形態学的な動態を解析し、一方ではシグナル伝達物質の網羅的解析をおこなってCNPとの関連性を解析し、CNPの成長板における作用の分子カスケードを解明することを目的とする。これまで、CGA-EGFPマウス(グリーンマウス) の胎生16.5日胎仔より摘出した尺骨の器官培養を用いて二光子顕微鏡による4D (3D+時間軸)イメージング解析によりCNPの成長板軟骨に対する作用を検討し、分子カスケードの解明としておこなうシグネチャー解析の前段階として、主な成長板伸長調節系であるERKシグナルの阻害剤であるU0126のマウス胎仔長管骨器官培養系における成長板軟骨の伸長促進作用を確認した。次に、CNPの成長板における作用を解析するためにシグナルカスケードの検討をおこなった。CNPによるシグナルをより明確に表出するために、CNPノックアウトラット胎仔脛骨の器官培養においてvehicleあるいはCNPを添加した2群の遺伝子アレイセットを使用して、野生型ラット胎仔脛骨の器官培養にvehicleあるいはERK阻害剤を添加した2群の遺伝子アレイセットとの比較においてgene set enrichment analysis (GSEA) を施行した。その結果、ERK阻害剤により変化した遺伝子群、とくに低下した遺伝子群とCNP添加により変化した遺伝子群はよく相関し、CNPの成長板におけるシグナル伝達系としてERKシグナルが重要であることが示された。
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