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2018 年度 実施状況報告書

ヒトiPS細胞を用いた2型糖尿病感受性遺伝子による糖尿病発症機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K09882
研究機関神戸大学

研究代表者

淺原 俊一郎  神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (00570342)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード膵β細胞 / ヒトiPS細胞
研究実績の概要

近年、電位依存性カリウムチャネルの一つであるKCNQ1遺伝子の一塩基多形(SNP)と2型糖尿病発症との関連が、わが国の異なる2グループから報告され、非常に注目されている。こうした「遺伝因子」の同定が進みつつあるが、2型糖尿病発症におけるメカニズムに関しては未だにほとんどわかっていないのが現状である。我々は、マウスを用いたこれまでの解析によって、Kcnq1遺伝子内に変異が存在すると出生時より膵β細胞量が減少することを明らかにしている(PNAS, 2015)。しかしながら、これらはマウスを用いた実験データであり、実際のSNPがどのような役割を担っているかは、ヒトの膵β細胞を使用しないと判断できない。そこでKCNQ1遺伝子のSNPを保有している個人の組織よりiPS細胞を作製し、膵β細胞に分化させることにより、膵β細胞におけるSNPの重要性を確認することにした。KCNQ1のSNPの有無が、膵β細胞への分化、もしくは分化した膵β細胞のviabilityに影響するかどうかについての検討を行うべく本研究を開始した。既報(Toyoda et al. Stem Cell Research, 2015)をもとに、ヒトiPS細胞からインスリン陽性細胞への分化を試みた。
iPS細胞の分化誘導実験を行った。各種試薬を加えて培養することによって、Neurogenin3の発現が確認され、MAFAやMAFBも認められるに至った。この時点において、膵内分泌細胞まで分化誘導されていると考えられたため、InsulinおよびGlucagonの免疫染色ならびに定量PCRを行ったところ、Glucagonの有意な発現が確認された。しかしながら、Insulinの免疫染色では非特異的な反応が認められたことから、膵β細胞への分化誘導に成功したとは言えず、今後もプロトコールを調整していく必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

十分に進展させることができなかった原因としては、複数の細胞株を同時に分化誘導させるうえで、それぞれの株において誘導効率や条件も異なっていることが実験中に明らかになってきた。既報の方法そのままでは十分な分化誘導が得られず、我々自身のオリジナルメソッドを検討しているところだが、株による違いもあることから、難渋しているところである。

今後の研究の推進方策

まず、最も分化誘導効率の良い細胞株に集中し、その細胞株において再現性高くインスリン陽性が確認されることを目指す。そのうえで、ゲノム編集によるインスリン発現変化を確認することを最優先とする。複数の株を扱うと、時間および経済的にも非効率的であり、そのような方針で臨むこととした。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)

  • [雑誌論文] Early administration of dapagliflozin preserves pancreatic β-cell mass through a legacy effect in a mouse model of type 2 diabetes2019

    • 著者名/発表者名
      Kanno A, Asahara SI, Kawamura M, Furubayashi A, Tsuchiya S, Suzuki E, Takai T, Koyanagi-Kimura M, Matsuda T, Okada Y, Ogawa W, Kido Y.
    • 雑誌名

      J Diabetes Invest.

      巻: 10 ページ: 577-590

    • DOI

      10.1111/jdi.12945.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Neuronatin and glucose-induced stress in pancreatic β-cells.2019

    • 著者名/発表者名
      Asahara SI
    • 雑誌名

      J Diabetes Invest.

      巻: 10 ページ: 574-576

    • DOI

      10.1111/jdi.12993.

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] PHD3 regulates glucose metabolism by suppressing stress-induced signalling and optimising gluconeogenesis and insulin signalling in hepatocytes.2018

    • 著者名/発表者名
      Yano H, Sakai M, Matsukawa T, Yagi T, Naganuma T, Mitsushima M, Iida S, Inaba Y, Inoue H, Unoki-Kubota H, Kaburagi Y, Asahara SI, Kido Y, Minami S, Kasuga M, Matsumoto M.
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 8 ページ: 14290

    • DOI

      10.1038/s41598-018-32575-z

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Docosahexaenoic Acid Reduces Palmitic Acid-Induced Endoplasmic Reticulum Stress in Pancreatic Β Cells.2018

    • 著者名/発表者名
      Suzuki E, Matsuda T, Kawamoto T, Takahashi H, Mieda Y, Matsuura Y, Takai T, Kanno A, Koyanagi-Kimura M, Asahara SI, Inoue H, Ogawa W, Kido Y.
    • 雑誌名

      Kobe J Med Sci.

      巻: 64 ページ: E43-E55

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SGLT2 inhibitors and protection against pancreatic beta cell failure.2018

    • 著者名/発表者名
      Asahara SI, Ogawa W.
    • 雑誌名

      Diabetol Int.

      巻: 10 ページ: 1-2

    • DOI

      10.1007/s13340-018-0374-y.

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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