研究課題
ミトコンドリアダイナミクスがミトコンドリア自身の品質管理のみならず、エネルギー代謝や、自然免疫を介する慢性炎症に関与すること、そしてその制御機構を明らかにすることを目的に、DRP1およびMFFの機能解析を進めた。①小胞体ストレスを介したエネルギー代謝恒常性維持機構 Drp1LiKOではミトコンドリア分裂が障害され、小胞体からのCa2+放出が低下し、小胞体ストレスが惹起される。一方でFGF21分泌が亢進し、脂肪組織、骨格筋などの末梢組織でのインスリン感受性を上げる。すなわち、肝細胞のDrp1はエネルギーセンサーとして機能し全身の代謝調節を行っている。Drp1のミトコンドリア外膜上の受容体として同定されたMffの肝細胞特異的遺伝子欠損マウス(MffLiKO)でも同様に小胞体ストレスが惹起された。しかしながら、FGF21の分泌増加の程度はDrp1LiKOより軽度であり、エネルギー代謝恒常性維持機構におけるMffとDrp1の機能には相違が見られ、それぞれ独立した機能を持つことが示唆された。②自然免疫応答制御機構 Drp1LiKOにLPSを腹腔内投与すると、NLRP3インフラマソーム/NFκB 経路を介した炎症性サイトカイン産生が野生型マウスと比較して著明に亢進した。MffLiKOマウスでも同様にLPS腹腔内投与で炎症性サイトカイン産生が亢進した。すなわちミトコンドリアの分裂は抗炎症に働く。Mitochondrial antiviral signaling(MAVS)はミトコンドリア外膜に存在し、RNAウイルスに対する免疫応答に必須な分子である。MffはこのMAVSを介したウイルス応答に不可欠であること、飢餓状態ではMffがリン酸化を受け、MAVSによる免疫応答が阻害されることを見出した。すなわち、Mffは代謝センサーであるとともに、免疫応答を制御していることを明らかにした。
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