研究実績の概要 |
通常飼育のC57BL/6マウス(6週令)を用いて、KIF11阻害剤であるIspinesibおよびSB743921 の投与量、投与方法の検討を行った。過去の報告に基づいた投与量(4日に1度、計3回, 1回の投与量 10mg/kgBW 腹腔内投与)では一部のマウスに急激な体重減少がみられた。そこで1回の投与量 5mg/kgBWあるいは1mg/kgBWに調節し、vehicle(V)投与群を含めた5群[V群, Ispinesib 1mg/kgBW投与(Isp-1) 群, Ispinesib 5mg/kgBW投与(Isp-5), SB743921 1mg/kgBW投与(SB743921-1)群, およびSB743921 5mg/kgBW投与 (SB743921-5) 群, それぞれn=3]で経過を観察した。投与開始から14日間の経過中5群間に体重の差は観察されず、これらの投与量では全身状態に明らかな影響は与えないと考えられた。グルコース負荷試験(D-glucose 2g/BW腹腔内投与)ではIsp-5群および SB743921-5群はV群と比較し、血糖値の曲線下面積(AUC)は低い傾向を示した(AUC;V群 46258±6282, Isp-5群 41763±4301 (vs V群, p=0.46) SB743921-5群38328±5053 vs V群p=0.24)。糖負荷試験におけるインスリン値はIsp-5群およびSB743921-5で低い傾向でありAUC;V 21.4±8.0 、Isp-5 15.3±1.6 ( vs V, p=0.39) SB743921-5 16.1±1.65 (vs V,p=0.44)、インスリン負荷試験では30分値(%0分値)がVで0.79±0.07、Isp-5で0.47±0.076(p<0.01)であったことから、KIF11阻害剤はインスリン感受性の改善を介した糖代謝改善効果を持つ可能性が示唆された。
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