研究課題
本研究では、免疫プロテアソームというタンパク質分解酵素がどのように糖代謝・脂質代謝を制御しているかを解明することを目的としている。平成30年度の糖代謝の領域に関して、免疫プロテアソームのLMP7の欠損とLMP2の欠損とともに糖代謝が改善されるデータを追加した。同一ケージ内で育成したlittermatesで、野生型(LMP2+/+)とLMP2欠損(LMP2-/-)マウスの糖代謝の比較も行い、腸内細菌叢等の影響に関係なく、LMP2欠損は顕著に耐糖能とインスリン感受性を改善することが明らかとなった。平成30年度の脂質代謝の領域に関して、脂肪細胞分化におけるLMP7の役割の解析では、CRISPR/Cas9システムによるLMP7ノックダウン細胞株、LMP7の酵素活性部位変異体(dominant negative clone)の高発現細胞株、SREBP-1a強制発現細胞株、及びLMP7阻害剤、PPAR-γアゴニストを用いて、興味深い結果が得られた。現在、その内容を論文にまとめ、投稿中の状態である。また、骨髄細胞から分化したマクロファージにインターロイキン-4で刺激すると抑制性とされるM2マクロファージに分化するが、LMP7の欠損により、その分化が増強されることを見出した。さらに、その分化の増強にSTAT6が関与することを見出し、現在、論文用の図を作成し、ショートレターの論文をまとめているところである。さらに、重要な報告があって、平成30年度をもって自治医大から九州保健福祉大学に異動することになり、今後、異動先において、論文の投稿やそれに対する対応、糖代謝における免疫プロテアソームの役割を解明する研究を引き続き行う予定である。また、本研究課題以外の研究において論文が1報アクセプトされ、数報が投稿中の状態にある。
3: やや遅れている
平成30年度で所属の自治医科大学から異動することになり、その手続きや新しい所属先への引っ越し等の準備で研究に充てる時間が少なかったため。
平成31年度から所属する九州保健福祉大学薬学部において、なるべく早急に研究体制を整え、続きの研究に邁進するつもりである。
残額がかなり少額のため、無理をして不要なものを購入するより、次年度に繰り越したほうが有効に使用できると考えた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Sci Rep
巻: 8 ページ: 7601
10.1038/s41598-018-25856-0