研究課題
本研究では、免疫プロテアソームを構成する酵素サブユニットのLMP2あるいは、LMP7が欠損している状態や、その酵素活性を抑制することにより、糖・脂質代謝が改善する機構について解析することを目的としている。本来なら、本年度が最終年度であったが、勤務先の異動により、研究環境のセットアップに多大な時間と研究費がかかった。しかしながら、年度後半になって、前勤務先から遺伝子改変マウスが輸送され、繁殖も順調に進んでいる。また、遺伝子改変を行う細胞培養の設備も完成し、少しずつ研究が進み始めた。平成30年度まで、脂肪細胞分化における免疫プロテアソームの役割に関する論文を準備していた。これまでのデータに、さらにPPAR-γのタンパク質発現の時間的変化と阻害剤によるその発現の変化やCRISPR/Cas9による遺伝子欠損の確認データなど、いくつかの補助的なデータを追加することにより、論文の内容をより充実させることができた。また、糖・脂質代謝の改善には炎症の抑制も関与することがわかっている。骨髄細胞由来マクロファージのLMP7を欠損、あるいは発現を抑制させると、IL-4による炎症抑制性のM2マクロファージへの分化が増強される事象での免疫プロテアソームの役割を解明している。このテーマでは、転写因子であるSTAT6のタンパク質発現変化のデータなどを追加し、論文の焼き直しを行っている。その他に、総説1報、学術論文7報が発表もしくは、受理された。
3: やや遅れている
平成31年度(令和1年度)の前半は、旧勤務先(自治医科大学)から現勤務先(九州保健福祉大学)への異動にあたり、動物飼育の環境設備の調整や動物の輸送、細胞培養やBSL2実験のためのP2実験の環境確立のために多大な時間と研究費がかかった。後半になって、脂肪細胞分化における免疫プロテアソームの役割に関する論文に新たなデータを追加して論文をより充実させることができている。また、骨髄細胞由来マクロファージのM2マクロファージへの分化における免疫プロテアソームの役割に関してもデータを追加した。現在、この二つの論文の焼き直しを行っている。また、免疫プロテアソームに関する総説を執筆し、eLS (encyclopedia of life sciences)にアクセプトされた。
異動に伴う進捗状況の遅れもあるため、計画を1年延長し、論文のクオリティを高めて、残りの研究費で論文の英文校正と投稿を行う予定である。
令和元年度に本学に着任し、講義の準備ならびに研究室の立ち上げ・動物の移設等に予想以上に時間を要した。そのため、研究が当初の研究計画の予定より遅れた。現在は論文を作成し、校正中である。当初の研究計画の論文投稿まで達成するために、もう少し時間を要するため、次年度に使用額が生じた。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
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