研究課題/領域番号 |
17K09901
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
武内 正博 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50466702)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | POEMS症候群 / 巨核球 / 免疫グロブリン |
研究実績の概要 |
POEMS症候群患者および多発性骨髄腫患者の骨髄中の形質細胞をSingle cell sortingした上で、cDNAライブラリー作成を行った。その結果、免疫グロブリン軽鎖および重鎖の配列が相同な複数の細胞が検出され、特にPOEMS症候群患者においては既報の特定の軽鎖が認められた事から、POEMS症候群の腫瘍クローン由来の配列と推定し、重鎖および軽鎖のクローニングを行った。 その後、腫瘍クローン由来の重鎖および軽鎖を元に293T細胞内で抗体の産生を行い、その精製を行った。精製された抗体と各種細胞株を用い、フローサイトメトリーやウェスタンブロッティング法で抗体の認識する抗原のスクリーニングを行っているが、これまでのところ抗体が認識する抗原の同定には至っていない。 また、imMKCLによる血小板産生については、当初は細胞の増殖や分化は問題なく行えていたものの、最終段階で血小板の産生をフローサイトメトリーにて確認したところ、成熟血小板が確認できなかった。このため、実験条件を連携研究者と相談しながら検討した結果、細胞培養の方法をFeeder freeの方法に変更したり、血小板産生の段階でShedding阻害剤を追加する事で繰り返し血小板産生が出来る様に実験系が安定したため、Anagrelideの添加実験を開始した。Anagrelideの添加濃度、タイミングの調整を現在行っており、既報でAnagrelideによって発現が低下するとされるPF4などの遺伝子発現をリアルタイムPCRで検討し、既報通りの発現低下を認めており、この条件で追加検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
POEMS患者の骨髄中の形質細胞をSingle cell sortingし、cDNAライブラリーを作成する部分が技術的に最も困難と考えられたが、この1年の間にこの点をクリアーし、抗体産生まで行う事が出来ている。また、imMKCLによる血小板産生も当初は実験系が不安定であり血小板産生が確認できない状態が続いたが、細胞培養の試薬などを連携研究者と協議しながら調整する事で実験系を安定させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
POEMS症候群患者の骨髄形質細胞から同定し、人工合成した抗体を用いた抗原のスクリーニングを引き続き行っていく。また、imMKCLのRNAシークエンスを行い、Anagrelideによる遺伝子発現の変化を確認していく。
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