POEMS症候群患者および多発性骨髄腫患者の骨髄中の形質細胞をSingle cell sortingした上で、cDNAライブラリー作成を行った。その結果、免疫グロブリン軽鎖および重鎖の配列が相同な複数の細胞が検出され、特にPOEMS症候群患者においては既報の特定の軽鎖が認められた事から、POEMS症候群の腫瘍クローン由来の配列と推定し、重鎖および軽鎖のクローニングを行った。 その後、腫瘍クローン由来の重鎖および軽鎖を元に293T細胞内で抗体の産生を行い、その精製を行った。精製された抗体と各種細胞株を用い、フローサイトメトリーやウェスタンブロッティング法で抗体の認識する抗原のスクリーニングを行っているが、これまでのところ抗体が認識する抗原の同定には至っていない。 また、imMKCLによる血小板産生については、実験条件を連携研究者と相談しながら検討し、繰り返し血小板産生が出来る様に実験系が安定したため、Anagrelideの添加実験を実施した。その結果、Anagrelideによる血小板産生抑制および巨核球の成熟抑制作用をin vitroで再現することに成功した。その後、アポトーシスの有無、細胞周期の解析やRNA sequenceを行い、巨核球のapoptosisは誘導せずに細胞周期を制御していること、また、複数の遺伝子の発現を制御して血小板産生を抑制していることを明らかにすることが出来た。POEMS症候群に関連した遺伝子の一つであるVEGFの発現に関してはAnagrelideの投与前後で変化を認めなかったが、定常状態での評価であったことから病的にVEGFの産生亢進を起こしている状況での検討について条件検討を行った。
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