研究課題
当教室で行ったType 3に対する詳細な解析(附属病院検査部 三田ら ASH2014)にひきつづき、方法を確立しつつ計画的に開始した。VWF抗原量またはVWF活性が低下しVWDが疑われる患者5名から書面によるインフォームドコンセントを得た後、末梢血ゲノムDNAを抽出しエクソーム解析を行った(大学院生三田・松下)。この方法ではエクソン領域のみを濃縮して解析することにより、効率的にエクソン上の変異を検出する。 エクソームはヒトゲノムのわずか2%未満にしか相当しないが、そこに既知の疾患原因変異の約85%が含まれていることから、全ゲノムシークエンスの欠点を補う費用効率の高い選択肢である。しかしながら精度の改善の余地はまだ残っており、現状当教室でも必ずサンガーシークエンスを行って確認している。本年度はSureSelect XT Human All Exon V5+UTRsキット (アジレント社)を用いてライブラリの調整を実施後、次世代シーケンサHiSeq (illumina)にてPaired Endに100塩基/リードを読み取り、3000万リードペア (6000万リード)を取得(取得データ量:6Gb/サンプル)した。しかしながらHiSeqカスタムシークエンスサービスとの契約が整い、対象とした10名中全員の検討が完了せず4名のみに以下のmutationを検出している。解析結果(No、VWD type、塩基置換部位、アミノ酸変異部位、hetero/homo、異常exon部位 の順に記載 )---------------------------------------------------------------------症例1:Type3、c.8254G>A、p.G2752S、homozygous exon 52。症例2:Type1、c.3614 G>A p.R1205H、heterozygous、exon 27。症例3:Type1、c.17 T>G、p.F6C、heterozygous、exon 2。4:Type1、c.5171-9delT、abnormal splicing、heterozygous、intron 29----------------------------------------------------------------------
3: やや遅れている
exome sequencingについては外注契約が整い、Runは終了したが、データ解析については対象10名中先行4名のみ完了した。残りの生データは得られているが解析が完了していないため今年度の執行予算を繰り越して支払うこととしてる。細胞学的には今年度はすでにBOECの試作を正常血液により開始している。それ以外には大きな遅延はない。
シークエンシングにて同定されたVWD mutationの生物学的意義はこれまでmutant DNAのtransfectionによる発現実験にて行われてきた。しかしながら、VWFは内皮細胞という培養系では再現の難しい細胞種から分泌され、さらにWPBという特徴的な小胞体に貯留され、刺激に応じて分泌されるという特徴を有する。BOECは、血管内皮細胞環境を患者由来として直接構築できる特徴がある。本研究では従来のTransfectionによる発現検討と組み合わせ、優性遺伝形式を取るVWDにおけるDominant-negative effectの細胞学的な機構を詳細に検討を行う。平成30年度以降は細胞培養を主体にBOECsを用い、免疫蛍光染色法やELISA法で遺伝子変異によるVWF発現の影響を調査して分子病態解析を行っていく。
exome sequencingについては外注契約が整い、Runは終了したが、データ解析については対象10名中先行4名のみ完了した。残りの生データは得られているが解析が完了していないため今年度の執行予算を繰り越して支払うこととした。
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