研究課題
30年度は、29年度に引き続き、9例のVWD患者より採取した末梢血ゲノムDNAを用いてエクソーム解析を実施し、以下の変異を同定した。c.1966C>T(p.Gln656*、新規変異)、c.3916C>T(p.Arg1306Trp、既報)、c.4975C>T(p.Arg1659*、既報)、c.4183C>T(p.Arg1395Trp、新規変異)、c.5471delC(p.Pro1824fs、新規変異)、c.4121G>A(p.Arg1374His、既報)、c.4414G>C(p.Asp1472His、既報)、c.3943C>T(p.Arg1315Cys、既報)これらの結果についてはサンガーシークエンスでも確認作業中である。解析した症例の中にはミスセンス変異でありながら、type 3(重症型)の表現型(臨床症状)を示し、血液中にVWF抗原、活性が検出できない症例がある。これらの症例を中心にその病因を探るべく、末梢血中の遊離血管内皮前駆細胞を培養して得られる血管内皮細胞(BOECs)による病態解析を進めた。まずは健常人の検体を用いて、BOECsの安定的培養条件の設定とVWFによる免疫染色の至適条件の設定を行った。BOECsの培養条件については様々な試行錯誤を繰り返しているところであるが、症例によりBOECsの培養ができない症例がある事を見いだし、その原因(背景)について探索中を継続する。VWFの免疫染色についてはHUVECを用いて条件設定を行ったのち、作成したBOECsに対しても実施し、安定的な結果が得られている。
2: おおむね順調に進展している
予定よりもやや遅れは認められるが、新規変異が複数同定され、遺伝子レベルでの新たな知見が得られた。BOECsを用いた病態解析についても課題が明確になってきており、研究の完遂は十分可能であると考えられる。
病態解析の一環として、作成したBOECsに対しDDAVP添加試験を行いVWF放出能の検討を実施した。目下DDAVPの至適濃度設定を行っている段階であるが、今後の結果によってはVWD病態解析の有用なツールとなる可能性を秘めている。
今年度物品費が節約できたので残額は次年度の細胞培養試薬購入(引き続きBOECsの培養を行う)のために使用予定である。
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