本研究において、①ヒト造血幹細胞(hematopoietic stem cell: HSC)が濃縮されるCD34+38-CD90+分画中に存在するCD35(補体制御因子)陽性亜分画は、造血細胞分化ヒエラルキーにおいてCD35-HSCよりも上流に位置する ②定常状態においてCD35+HSCとCD35-HSCの遺伝子発現パターンや増殖・分化能は同等である ③補体系が活性化するstress hematopoiesis環境下(異種移植や化学療法後)では、CD35+HSCは活性化した補体系からの逃避機構により、生存・増殖優位性を示す ことを明らかにした。今回我々が新たにHSC表面への発現を同定したCD35は機能的な分子であり、補体制御技術の確立によりHSCの生着効率向上を目指す取り組みや、HSCが正常カウンターパートと考えられている白血病幹細胞(LSC)の機能解析などに応用が期待される。
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