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2018 年度 実施状況報告書

造血幹細胞の未分化性維持に対する転写因子Foxp2の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K09907
研究機関九州大学

研究代表者

細川 健太郎  九州大学, 医学研究院, 講師 (90569584)

研究分担者 新井 文用  九州大学, 医学研究院, 教授 (90365403)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード造血幹細胞 / 静止期 / 細胞周期
研究実績の概要

本年度、申請者は造血幹細胞(HSC)のFoxp2を介した未分化性維持機構を解明するため、①Foxp2欠損マウスを用いた生理的条件下におけるHSCの表現型解析、および②ストレス環境下のHSCにおけるFoxp2の機能解析を行った。
①生理的な条件下においてHSCの表現型を解析するため、造血細胞特異的にFoxp2を欠損するコンディショナルノックアウト(cKO)マウスを用いて解析を行った。欠損マウスでは、前駆細胞レベルでの異常は見られなかったが、HSCおよび一部の多能性前駆細胞において有意に減少することが分かった。また、細胞周期の静止状態の維持についても障害されていて、G0期にあるHSCが減少していた。また、この時のcKOマウスにおける細胞周期制御因子や増殖に関連した遺伝子発現は、静止状態が障害されていることを裏付けるものであった。
②ストレス環境下におけるFoxp2の機能解析を行うために、cKOマウスに対し、5-フルオロウラシル(5-FU)の投与による骨髄抑制を行い、その後の造血回復を比較したところ、コントロールでは投与後7日目に静止状態の回復が始まるのに対し、cKOマウスでは遅延していることが分かった。また、HSC分画の回復自体も遅れることが分かった。前年度使用したFoxp2の単一塩基置換を行ったFoxp2[R552H]KIマウスに対して同様の実験を行ったところ、こちらも[R552H]KIマウスで7日目の造血回復が遅れるという結果が得られ、Foxp2の核内における機能がHSCの静止期への移行に重要な役割を持つことが考えられた。
以上の結果から、Foxp2は細胞周期関連因子の発現を制御し、HSCの静止状態の維持に機能していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度まではFoxp2の単一塩基置換を行ったFoxp2[R552H]KIマウスを用いて生理的な解析を行ったが、これはFoxp2の核内移行の阻害されたモデルであり、Foxp2が核内において機能することの重要性を明らかにしたものである。一方で、本年度の造血細胞特異的なFoxp2欠損マウスの作製によって、生理的な条件下においてHSCにおけるFoxp2の機能を解析することが可能となった。今後は、cKOマウス由来HSCの骨髄再構築能を比較し、自己複製能におけるFoxp2の機能を明らかにする。また、網羅的な遺伝子発現解析を行い、コントロールとcKOマウス由来HSCの遺伝子発現ネットワークを比較し、Foxp2の下流の伝達経路を解明してゆく予定である。

今後の研究の推進方策

Foxp2は転写制御因子であるが、その制御方法には2通りあることが報告されている。1つはFoxp2がDNAに結合して転写促進を行う機能と、もう一つは他の転写因子に直接結合してDNAに結合して転写開始するのを阻害する転写抑制機能である。1つ目の転写促進機能に関しては引き続きChIP-seq解析を行うことで明らかにしていきたいと考えている。もう一方の転写抑制機能に関しては、免疫沈降-質量分析(IP-MS)によってその結合標的について網羅的に解析し、RNA-seqの結果と合わせて絞り込んでいき、下流の候補分子のHSCにおける機能解析まで行いたいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] POT1a deficiency in mesenchymal niche cells results in bone marrow failures and skeletal retardation2018

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Nakashima, Yuya Kunisaki, Kentaro Hosokawa, Shouichi Ohga, Fumio Arai
    • 学会等名
      第80回日本血液学会学術集会

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公開日: 2019-12-27  

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