研究課題/領域番号 |
17K09912
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
宮田 茂樹 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (20239411)
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研究分担者 |
前田 琢磨 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (20713126)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | HIT / 抗凝固 / 血栓 |
研究実績の概要 |
本研究では、全国にわたる他施設からのヘパリン起因性血小板減少症(HIT)診断、治療に対するコンサルテーション依頼に対応するとともに、平成29年度末までに、全国314施設から、780症例のHIT疑い症例の登録、ベータベース化が終了している。 HITはヘパリン(外来抗原)に対するadaptive immune reactionではなく、血小板第4因子(PF4)が関与した細菌貪食を促進させるための、Marginal zone B-cellを中心としたT cell-independent innate immune reapctionの誤誘導(misdirection)よって発症することが明確となりつつある。平成29年度までに、ヘパリンに依存しないinnate immune responseである証拠として、ヘパリン投与を全く受けたことのない症例でもHITを、spontaeous HIT syndromeとして発症し得ること、それらの症例のsystematic review を行うことで、spontaneous HIT syndromeの診断基準を提案した。 また、HIT抗体産生には、主にT cell-independent innate immune responseが関与し、急速に産生され、消失する特性を持つこと、特異的なmemory B cellによる強い反応を欠くことが指摘される。平成29年度までに、実際、HIT既往患者で、HIT抗体陰性化後、人工心肺中の一時的なヘパリン投与を行っても、HITを再発することなく経過した症例についての20例のデータベースを確立した。この解析で、術後に血小板活性化能をもつHIT抗体再上昇を認める症例があることも判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新しいHIT診断のスコアリング法の開発の一環としてAI(artificial intelligence)を用いた最適スコアリングを考えており、そこに対しては関係部署との調節中であり、やや遅れている。しかしながら、予定通りにHITの全国登録調査はすすんでおり、おおむね問題ないものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最適なHIT診断の臨床スコアリングを開発し、実際に臨床応用を目指す。また引き続きHITの全国登録調査も継続し、疾患ごとの分析などを可能にする規模(HIT疑い症例で1000例程度)を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在進行中のHIT全国登録調査において、症例が想定より少なく、それに伴う 抗体測定などの試薬代が低く抑えられたため。
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