研究課題/領域番号 |
17K09920
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
鶴見 寿 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (00313891)
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研究分担者 |
原 武志 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (10456501)
齋藤 邦明 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (80262765)
後藤 尚絵 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (80444280)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 悪性リンパ腫 / GP88 / progranulin |
研究実績の概要 |
本研究は、TNF-αとは独立してTNFレセプターに結合するGP88(progranulin)の関与により、慢性炎症を母地に悪性リンパ腫が発症する機序、悪性化獲得のメカニズムを病理学的所見、臨床情報と関連づけて検討し、その制御方法を模索することを目的とする。昨年度は岐阜大学医学部附属病院血液内科に入院した悪性リンパ腫症例の入院時保存血清を用いて、血清GP88をELISA法にて測定し、異常高値群を抽出した。同時に診断時残余生検検体のparaffin切片材料を用いてGP88タンパク質発現を検討し、リンパ腫細胞に強発現している症例を確認した。悪性リンパ腫における血清GP88タンパク過剰発現の予後因子としての有用性を検討したところ、びまん性大細胞型B細胞性リンパ種(DLBCL)症例において血清GP88高値症例は低値症例と比較して有意に予後不良であることを確認した。結果を学術誌に投稿し、受理された(Clin Chim Acta. 2017)。 本年度は昨年の臨床検体を用いたGP88の造血器腫瘍における重要性を裏付けるための基礎的実験をおこなう準備期間とした。具体的には、悪性リンパ腫細胞株や、リンパ腫患者検体を用いてcDNA、genomic DNAを抽出しGP88遺伝子発現や転写因子の異常、蛋白合成の異常を検討する。さらにGP88低発現である低悪性度リンパ腫由来細胞株(FL-18など)に、GP88を遺伝子導入し、細胞増殖性や転移能などの細胞性質の変化を検討する準備をおこなった。本検討により、GP88がもたらす変化を明らかにし、治療ターゲットとしての可能性を提案できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床検体を用いたデータを裏付ける、基礎的実験がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はcDNA、genomic DNAを用いGP88遺伝子発現、転写異常、蛋白合成異常を明らかにし、さらにGP88低発現である低悪性度リンパ腫由来細胞株(FL-18など)に、外来性に正常GP88を発現することにより、細胞増殖能力など生物学的悪性度に変化が現れるかを明らかとする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
来年度は最終年度となり、更なる詳細な実験を計画しており、平成30年度以上に費用が必要となると考えられ、次年度への繰り越しが生じた。 また成果発表のための学会参加費、旅費などを検討している。
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