研究課題
令和元年度においては、前年度に引き続き、腫瘍細胞と微小環境との相互作用の解明に取り組んだ。臓器指向性を規定するメカニズムの同定については、中枢神経病変を形成する腫瘍に焦点を当て、前年度までに明らかにした中枢神経病変に特異的に発現する遺伝子の意義の解明に取り組んだ。当該遺伝子の免疫染色により、経過中に二次性中枢神経浸潤を来した2名の患者において、初発時の腹腔内病変では陰性であった当該遺伝子発現が、中枢神経病変では陽性となることを確認した。さら中枢神経原発悪性リンパ腫病変では、DLBCLの節性病変と比較して有意に当該遺伝子の発現を認めることを明らかにした。さらに、ゲノム編集により当該遺伝子のノックダウン株を作成し、異種移植モデルでの検討を行った。並行してがん関連線維芽細胞(CAF)より分泌されるエクソソームの役割の解明についての検討を進めた。CAFより分泌されるエクソソームが、ピリミジン系拮抗薬のトランスポータータンパク発現の低下を誘導することにより、同薬の耐性誘導に関与していることを明らかにし、in vivoモデルでの検討においても、CAFとリンパ腫細胞を混合した腫瘍においては、ピリミジン系拮抗薬に対する感受性が低下することを明らかにした。さらに臨床検体のトランスポータータンパク発現を免疫染色により評価し、トランスポータータンパクの発現の有無により、ピリミジン系拮抗薬を含む治療法の感受性が異なることを明らかにした。さらに、薬剤ライブラリーよりエクソソームの有無により感受性変化する薬剤のスクリーニングに着手し、感受性変化を来す薬剤を抽出した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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