研究課題/領域番号 |
17K09925
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
菱澤 方勝 京都大学, 医学研究科, 助教 (90444455)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 成人T細胞白血病 / 制御性T細胞 / 血液内科学 |
研究実績の概要 |
制御性T 細胞 (Regulatory T cell: Treg)のmaster regulator であるforkhead box P3 (FOXP3)は、成人T 細胞白血病 (adult T-cell leukemia: ATL)の大半で発現するが、その発現する機序は未解明である。本研究では、FOXP3 遺伝子のTreg 特異的な脱メチル化領域のDNA メチル化とATL におけるFOXP3 の発現機序やTreg との関連について解明を目指す。 2017年度は、ATL26例(急性型7例、リンパ腫型3例、くすぶり型9例、移植後7例)と無症候性キャリア10例で、flowcytometryによる表面抗原解析、並びに検体の収集をおこなった。近年、HAS-Flowと呼ばれるTSLC-1の発現に基づく表面抗原の解析により、HTLV-1感染細胞のうちでATL細胞を特異的に検出できる方法が報告されているため、我々もその方法によってCD3+CD4+TSLC-1+CD7-の表面抗原をもつ細胞での検討をおこなった。HTLV-1感染者の中でCD3+CD4+TSLC-1+CD7-の細胞の多くがHTLV-1感染細胞であり、かつFOXPが発現している場合が多く、さらにはCCR4などのTregに一致する表現型を有していた。この細胞を分離して、DNAメチル化解析やサイトカイン産生能を検討する予定であるが、2017年度は本格的な実施には至らなかった。一方、解析結果と臨床像の関連を調べるためのデータベースは並行しておこなっており、臨床研究法に準拠してデータベースの構築を進めている。これまでの予備的な検討では、FOXP3領域のDNA低メチル化症例では予後不良であることが示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験に協力してくれていた技官が病気のため長期休養することとなり、研究代表者自身も他業務のため実験に専念する時間の確保が困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
HAS-flow法によるflowcytometryでのHTLV-1感染者の解析を引き続きおこない、当初より計画しているDNAメチル化解析やサイトカイン産生能の解析をし、臨床像との関連について検討をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の未使用額は、その金額内での消耗品の購入が困難であったためである。本年度に研究計画に記載した研究のための消耗品(フローサイトメトリー用の抗体やDNAメチル化解析のキットなど)に用いる予定である。
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