研究課題/領域番号 |
17K09934
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
森島 聡子 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40463195)
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研究分担者 |
益崎 裕章 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00291899)
玉城 啓太 琉球大学, 医学部附属病院, 医員 (40806452) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 潜伏感染ウイルス / HTLV-I / 成人T細胞白血病リンパ腫 / HLA |
研究実績の概要 |
本研究は、乳児期に感染したHTLV-I (ヒトT細胞白血病ウイルス)が原因で発症する成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)や成人の大部分が潜伏感染しているEpstein-Barr ウイルスが関与する悪性リンパ腫など潜伏感染ウイルスが関連するリンパ系腫瘍の発症や進展において、免疫を司る重要な分子であるヒト組織適合性抗原(HLA)の意義を解明することを目的としている。これまで主に、ATLの発症に特定のHLAが関与するのか、またATL細胞にどのようなHLAの遺伝子異常が生じるかを検討した。 ATLの患者とHTLV-Iキャリアを前向きに登録し、HLAタイピングを行った。ATL患者でHTLV-Iキャリアに比べて頻度の高いHLAアレルが認められ、キャリアからATLの発症に特定のHLAが関与している可能性が示唆された。現在検体数を増やし、HTLV-1プロウイルス量及び臨床データを集積してHLAアレルとの関連を解析中である。 ATL細胞に生じるHLA遺伝子の異常を解析するため、ATL急性型と慢性型の症例の末梢血よりATL細胞と正常細胞の各分画よりDNAを抽出し、long-range PCR法によるHLA遺伝子全領域の変異解析を行った。急性型ATLでは高率にHLA遺伝子のloss of heterozygosity (LOH) もしくは非同義置換・挿入/欠失などタンパク質の構造に影響を及ぼしてHLAの発現を低下させる可能性を示唆する変異の存在を認め、ATLでは病勢の進行に伴い免疫から回避するHLA遺伝子異常を獲得していることが示唆された。本研究成果を英文論文として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ATL細胞に生じるHLA遺伝子の異常の解析を行い、急性型ATLでは腫瘍細胞表面上で正常なHLAを発現できない遺伝子異常が生じる可能性を示した。本研究成果を、英文論文として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られた研究成果について、ATL細胞のゲノムに生じるHLA遺伝子異常に関して英文論文で報告した。現在、ATL患者におけるHLAのRNA発現解析を進めており、ゲノムレベルで生じるHLA遺伝子異常との関連を示し、ATLに生じるHLA遺伝子異常のバイオマーカーとしての意義を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまで得られた研究成果を英文論文として報告したが、論文で報告することのできなかったHLAのRNA解析を進めている。解析に必要な試薬の購入に使用する。
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