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2018 年度 実施状況報告書

Toll様受容体CD180を介した感染に伴う多発性骨髄腫の進展機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K09937
研究機関自治医科大学

研究代表者

菊池 次郎  自治医科大学, 医学部, 准教授 (60371035)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードToll様受容体 / 多発性骨髄腫 / 感染 / CD180 / 骨髄微小環境
研究実績の概要

多発性骨髄腫におけるToll様受容体(TLR)CD180の機能解明を進めた。
多発性骨髄腫におけるCD180の発現様式をデータベース により解析したところ、1) 正常形質細胞に比べて有意に強発現すること、2) 骨髄腫細胞の中でも幹細胞の含まれるCD138陰性細胞で発現が高いこと、3) 骨髄から採取すると時間の経過に伴い発現が低下することが明らかになった。
ここから、CD180は骨髄微小環境にある骨髄腫幹細胞で発現が亢進しており、LPS刺激は幹細胞を刺激して増殖の亢進に働くことが示唆された。骨髄腫細胞をストローマ細胞の共存の有無でマウス皮下に移植すると、ストローマ細胞の共存時のみLPS投与による増殖亢進が見られた。ストローマ細胞の共存下では骨髄腫細胞のCD180発現が亢進しており、LPSに対する感受性が高まったと考えられる。
一方、CD180発現の抑制に働く低分子阻害剤には、LPSを介した増殖刺激を阻害する作用が示唆される。続いて、CD180の転写制御機構の解明を進めた。その結果、CD180が転写因子Ikarosにより転写活性化されていること、Ikaros分解を介して抗骨髄腫作用を示すサリドマイド誘導体レナリドマイドがCD180発現を抑制し、LPSによる増殖刺激を阻害する作用が明らかになった。LPS投与前にレナリドマイドを投与したマウス移植モデルでは、骨髄腫細胞のCD180発現が見られず、増殖亢進作用も見られなかった。また、骨髄腫患者の後方視的解析においても、レナリドマイド投与中の症例では細菌感染に伴う病態悪化が見られなかった。ここから、レナリドマイドには骨髄腫細胞のCD180の発現抑制を介して感染に伴う病状の悪化を予防する働きが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度内に設定した研究目標を達成した。

今後の研究の推進方策

最終年度である平成31年度内には、骨髄腫患者のCRP値上昇時のMタンパク値変化の後方視的解析を症例数を増やして行い、両者の相関性を解析すると共に、 検体が入手できる症例についてはCD180発現レベルを解析し、感染の有無やCD180発現レベルと予後との関連についても解析を進める。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Eradication of central nervous system leukemia of T-cell origin with a brain-permeable LSD1 inhibitor.2019

    • 著者名/発表者名
      Saito S, Kikuchi J, Koyama D, Sato S, Koyama H, Osada N, Kuroda Y, Akahane K, Inukai T, Umehara T, Furukawa Y.
    • 雑誌名

      Clin Cancer Res

      巻: 25 ページ: 1601-1611

    • DOI

      10.1158/1078-0432.CCR-18-0919

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Myeloma cells are activated in bone marrow microenvironment by the CD180/MD-1 complex, which senses lipopolysaccharide.2018

    • 著者名/発表者名
      Kikuchi J, Kuroda Y, Koyama D, Osada N, Izumi T, Yasui H, Kawase T, Ichinohe T, Furukawa Y.
    • 雑誌名

      Cancer Res

      巻: 78 ページ: 1766-1778

    • DOI

      10.1158/0008-5472.CAN-17-2446

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Involvement of innate immunity in the expansion of multiple myeloma cells and therapeutic intervention with lenalidomide2018

    • 著者名/発表者名
      Furukawa Y, Kuroda Y, Kikuchi J.
    • 雑誌名

      Rinsho Ketsueki

      巻: 59 ページ: 1048-1057

    • DOI

      10.11406/rinketsu.59.1048

    • 査読あり
  • [学会発表] 免疫調節薬はToll様受容体CD180の発現抑制を介して感染をきっかけとした病態の進展を予防する2018

    • 著者名/発表者名
      菊池次郎、黒田芳明、小山大輔、長田直希、和泉透、安井寛、川瀬孝和、一戸辰夫、古川雄祐
    • 学会等名
      第43回日本骨髄腫学会学術集会
  • [学会発表] Jiro Kikuchi, Shiori Saito, Daisuke Koyama, Shin Sato, Hiroo Koyama, Naoki Osada, Yoshiaki Kuroda, Koshi Akahane, Takeshi Inukai, Takashi Umehara, Yusuke Furukawa2018

    • 著者名/発表者名
      Eradication of central nervous system leukemia of T-cell origin by a brain-permeable LSD1 inhibitor
    • 学会等名
      第79回日本血液学会学術集会
  • [備考] 自治医科大学幹細胞制御研究部ホームページ

    • URL

      http://www.jichi.ac.jp/laboratory/molecula/stem/index.html

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公開日: 2019-12-27  

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