T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)の治療成績は未だ不良で、新たな治療戦略が必要とされている。とくに予後の悪化に直結する中枢神経再発を予防・治療する分子標的薬は高い有用性が期待される。最近、申請者らはヒストン脱メチル化酵素LSD1がT-ALL発症のドライバー遺伝子であることを見いだした。そこで理化学研究所・梅原崇史博士との共同研究によって新規のLSD1阻害薬を多数合成、T-ALLに対する有効性をスクリーニングし、臨床応用レベルの効果と特異性・安全性を有する化合物を同定した。LSD1阻害剤は経口投与が可能で、かつCNS移行の良好なものが多く、T-ALLの治療に高い優位性を有すると期待される。
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