研究課題
①アナグレリド(ANA)は、本態性血小板血症(ET)の治療薬として2014年から本邦で使用が開始された。二次発がんリスクが無いことからその使用拡大が見込まれるが、研究分担者の小松らのカルテ調査により約3割の患者は効果を示さないnon-responder(NR)であることが報告された。本研究はNRに関与する要因を明らかにし、最終的にはETの個別化治療の実現を目的とした。②順天堂医院のET患者に加えて、R1年度は浦安病院と練馬病院へ対象患者を広げ、ANA投与中の患者120名のカルテ調査を実施した。各施設と明治薬科大学のIRB承認後、患者背景因子とANA投薬開始前後の血小板数などの推移を28週間まで調査した。血小板数が25%以上の低下、あるいは28週後の血小板数が60~40万個/μL未満へ低下した患者を奏効群(R)、血小板数が低下しなかった患者をNR群と分類した。更に血小板減少に影響すると考えられるANAの薬物動態と疾病関連遺伝子について多型解析を実施した。③ANAのNRの影響因子をロジスティック解析で検討した結果、ヒドロキシウレア(HU)の治療歴(OR=3.4,P<0.008)と脂質異常症(OR=0.21,P<0.004)が抽出された。HUの前治療歴のない患者(n=68)では、JAK2遺伝子変異(OR=11.0,P<0.028)がNRの影響因子であった。④母集団薬物動態解析法によりANA投与後の血小板数の時間推移とID50の変動要因について、間接反応モデルによる解析に成功した。HUの前治療歴が血小板減少率を低下させる因子であった。HUの前治療歴のない患者では、喫煙群とスタチン併用群が血小板減少率を上昇する因子として抽出された。⑤ANAと主代謝物の血中濃度推移を8名のみであるが測定できたので、今後、薬物動態と感受性の個体差に影響する因子に分けて解析予定である。
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Clin Pharmacokinet
巻: 58 ページ: 1077-1089
10.1007/s40262-019-00745-5