研究課題/領域番号 |
17K09950
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
山根 利之 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (30452220)
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研究分担者 |
山崎 英俊 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00283987)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 組織滞在型マクロファージ / 卵黄嚢 / 造血発生 / 免疫発生 / マウス |
研究実績の概要 |
近年、末梢組織に停留するマクロファージ系譜は、成体に存在する造血幹細胞ではなく、胎仔期の特に卵黄嚢と呼ばれる胚体外の組織に由来し、成長後の成体においても、それぞれの組織で自己増殖していることが明らかとなってきている。そこで本研究課題では、胎生期に由来する組織滞在マクロファージの幹細胞学的起源を探るととともに、その分化機構を明らかとし、組織滞在マクロファージをリプログラミングによって人為的に作製する方法を開発することを目的としている。
これまでの研究から、組織滞在型マクロファージは、胎仔型赤血球と共通の祖先細胞(初期卵黄嚢に存在する)を持つこと、胎仔型赤血球の形成を促進または抑制する転写因子が、組織滞在型マクロファージの分化へ影響を与えることを明らかとしている。今年度はこれらの知見に加え、組織滞在型マクロファージの祖先細胞として、胎仔型赤血球との共通祖先細胞に加えて、胎齢8日目から9日目にかけ、リンパ球系への分化能を有する多能性細胞や、骨髄球系前駆細胞も、組織滞在型マクロファージの祖先細胞として機能しはじめることなど、組織滞在型マクロファージが多起源化することを示し、組織滞在型マクロファージの発生が多段階的に変化していくことを示した。
またリプログラミングによってマクロファージを作製する技術についても、リプログラムされたマクロファージをマウス成体へ移植することで、長期にわたって生体内においても維持され得ることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度のSARS-CoV2(新型コロナウイルス)による感染症の蔓延による社会活動制限下において、特に海外からの複数の実験資材の入手に遅れが生じ、若干の遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、「マクロファージの起源の探索」部分については、論文投稿中であり、改訂投稿に伴う改訂実験を進める。また「リプログラミングによるマクロファージの人為的作製法の開発」部分について、より精度の高い実験系を駆使するとともに、統括的な実験を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度のSARS-CoV2(新型コロナウイルス)による感染症の蔓延による社会活動制限下において、特に海外からの複数の実験資材の入手に遅れが生じ、若干の遅れを生じた。次年度使用額については、実験試薬の購入、論文発表費用などに充てる予定である。
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