研究課題/領域番号 |
17K09953
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
南 陽介 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (60513752)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 急性骨髄性白血病 / 制御性T細胞 / PD-1 |
研究実績の概要 |
造血器腫瘍患者検体において、制御性T細胞など免疫細胞のプロファイルの相違について検討を行った。特に病期が進行しつつある骨髄異形成症候群の患者検体を中心に施行した。また、TIM-3やPD-1/PD-L1など、腫瘍浸潤性リンパ球・腫瘍関連マクロファージ・制御性T細胞分画に特異的な発現が報告および示唆されている表面マーカーの発現パターンについて網羅的な解析を行った。そのなかで、アザシチジン治療経過中において、制御性T細胞分画の抑制が認められた。現在、更なる検体の解析を進めている。そこから更に、免疫チェックポイント阻害薬などの効果を評価するとともに、治療反応性に伴うバイオマーカーの検討をGSEAなど含め並行して進める準備を開始している。 急性骨髄性白血病において、制御性T細胞分画の分布について、末梢血と骨髄細胞の双方を比較検討しているが、特に骨髄検体の方に特異的なプロファイルがある訳ではないことも突き止めている。 これまでの研究から得られている知見に基づき、急性骨髄性白血病細胞株やプライマリー細胞を用いて、抗がん剤やキナーゼ阻害剤に対する微小環境における治療抵抗性AMLモデルの樹立と開発を継続しており、その抵抗性を担っている分子やシグナル経路の解明を進めている。また、マルチカラーフローサイトメトリーを用いた白血病細胞の解析系についても更なる改良のもと樹立しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
制御性T細胞など免疫細胞のプロファイルの解析については、すでに安定したアッセイ系を確立させられている。更に多数例の解析を行う準備も順調に進んでいる。アザシチジン治療経過中検体において、興味深い予備データが得られている。 基本となる実験手法は既存のものに最新機器を加えたアッセイ系がベースとなっているが、これらに多種の臨床検体に合わせた最適化が進められており、基礎的な各種アッセイ系も兼ね備えた独自の研究内容として進行できている。
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今後の研究の推進方策 |
前述の様に、制御性T細胞などの免疫細胞のプロファイルの解析が順調に進んでいるため、こちらを中心に研究を進める。また、アザシチジン治療経過中検体において、興味深い予備データが得られているいるため、こちらについても掘り下げていく。 微小環境における治療抵抗性AMLモデルについて、それまでに得られた残存メカニズムに関する結果やその解釈に基づいて、更に妥当な評価モデル系の確立を目指す。治療抵抗性AMLモデル系において、PD-1/PD-L1標的以外の免疫チェックポイント阻害薬の効果や作用機序、正常細胞に対する毒性についての基礎実験を継続する。 TIM-3やPD-1/PD-L1など、制御性T細胞や腫瘍浸潤性リンパ球・腫瘍関連マクロファージに特異的な発現が示唆されている表面マーカーの発現やその重複について、網羅的な解析を行う。また、標準阻害剤キットや阻害剤および抗体ライブラリーを用いた薬剤スクリーニングを、ストローマ共培養系や低酸素下培養系を用いて施行し、正常幹細胞と白血病細胞の感受性を比較検討することによって新規候補を探索していく。また、残存白血病細胞に対する免疫チェックポイント阻害薬の効果についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
極めて少額の使用額であり、当初の計画通り次年度研究は進めていく。
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