研究実績の概要 |
平成29・30年度の研究では、同種造血幹細胞移植を行った患者34例を対象に、高感度にウイルスDNAを評価可能なデジタルPCR法を用いて血漿中のHHV-6DNA量を測定し、CD4+T細胞におけるCD134発現率とHHV-6再活性化の関連について前向きに検討した。 30%の症例において、デジタルPCRではリアルタイムPCRより1-2週間早くHHV-6 DNAの検出が可能であった。HHV-6再活性化群では非再活性化群と比較して移植前のCD4+T細胞におけるCD134発現率(CD134/CD4比)が有意に高値であった(3.8% vs. 1.5% , P < 0.01)。多変量解析では、移植前にCD134/CD4比が高い症例(odds比 = 10.5, P = 0.03)と、臍帯血移植を含むHLA不適合移植において(odds比 = 15.4, P = 0.04)、HHV-6再活性化のリスクが有意に増加することが判明した。 令和元年度は、脳症や高コピー再活性化など、治療を必要とするHHV-6再活性化と移植前のCD134陽性CD4+T細胞数の関連を調べた。109例について移植前のCD134+CD4+T細胞絶対数を調べたところ、治療を必要とした症例 (N = 10)において、治療不要群 (N = 99)に比べ移植前のCD134+CD4+T細胞の絶対数が有意に多いことが確認された(8.1/μL vs. 2.1/μL, P < 0.01)。 本研究では、同種移植後のHHV-6再活性化を検出するための新たな検査方法として、より高感度にHHV-6 DNAを検出できるデジタルPCRによる検査法を開発した。またHHV-6再活性化の独立したリスク因子として、移植前のCD134/CD4比高値が同定され、さらに移植前のCD134+CD4+T細胞数の測定により、重症化リスクを予測することができると考えられた。
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