研究課題/領域番号 |
17K09963
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 量基 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70434826)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エロツズマブ / カルフィルゾミブ / イキサゾミブ / 樹状細胞 / IFN-a / Th2 / 多発性骨髄腫 / IMiDs |
研究実績の概要 |
本研究テーマを完遂するために、1)免疫細胞の司令官たるヒト樹状細胞(Denderitic Cell:DC)の活性化と多発性骨髄腫新治療薬である、エロツズマブ(抗SLAMF7 抗体)、カルフィルゾミブ、イキサゾミブによる細胞障害性、成熟能に対する作用、サイトカイン産生能に対する作用を検討した。これらの薬剤の、樹状細胞に対する免疫応答調節機序の報告はこれまでに無い。 1)エロツズマブ添加の実験に先駆けて、まずはTARGETであるSLAMF7発現をヒト樹状細胞サブセットで検討し、それぞれの刺激物質により、その発現が上昇することを確認した。ただし、エロツズマブ単独添加により樹状細胞サブセットの活性化は認められなかった。しかし、クロスリンキング抗体の添加によりミエロイド系樹状細胞が有するTh2細胞誘導能を増強する効果が認められた。 2)プロテアソーム阻害薬であるカルフィルゾミブとイキサゾミブは24時間培養によって樹状細胞に抑制的に作動することが同定されたが、それぞれの臨床的血中 濃度をmimicした培養系を確立した。 2-1:カルフィルゾミブは、非常に短期間のピークコンセントレーションの後、非常に低いトラフレベルで推移するため、これに合わせた二相性の培養システムで解析をしたところ、ピークコンセントレーションの刺激により、plasmacytoid DCに対して、IFN-a産生をむしろ増強させることが判明した。 2-2:イキサゾミブは内服薬であるためピーク濃度も比較的低く、緩やかにトラフレベルへ推移する。ピーク濃度での24時間刺激では軽度に樹状細胞サブセットの生存性、成熟性、サイトカイン産生能を抑制するが、トラフレベルの24時間培養では、抑制は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通りであるが、1のエロツズマブの実験系で遅れがあったが、クロスリンキング抗体を添加することにより解決できた。 ヒト樹状細胞サブセットはいずれも無刺激の状態でSLAMF7を発現していることは確認出来ているが、エロツズマブを添加することによって樹状細胞サブセットの生存性、成熟性、サイトカイン産生能に影響が認められなかった。そのため、plasmacytoid DCに対しては、CpGA、CpGB、CpGC、loxolibinによる刺激を、ミエロイド系樹状細胞に対しては、LPS、PolyIC、R848、TSLPによる刺激を試して、SLAMF7発現の増強を確認したが、それら刺激を用いてもエロツズマブでの付加効果は認められなかった。しかし、クロスリンキング抗体によりミエロイド系樹状細胞における反応に効果が認められた。ただし、plasmacytoid DCにおいては、クロスリンキング抗体を用いても明らかな変化が認められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としてエロツズマブに関しては、plasmacytoid DCに対する実験系の確立が必要である。多発性骨髄腫細胞株の培養上清による培養系によりplasmacytoid DCのbilogyに変化が認められないか次年度の方策とする。 2カルフィルゾミブに関して、plasmacytoid DCに対する作動が解析出来ており、今後はミエロイド系樹状細胞における検討を行う予定である。 3イキサゾミブは実験症例数を増やすことで、実験の精度が上がると考えられる。
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