研究実績の概要 |
シェーグレン症候群(SS)の発症機序において、病因細胞であるM3R反応性Th1細胞の抗原特異性を維持したまま、制御機能をもったTreg細胞へ機能チェンジする誘導分子を検索し、創薬化することを目的としている。まず、抗原特異性を維持するためにTCR遺伝子が保持されるメリットを有するT-iPS細胞を応用する。研究成果は以下である。 1)SS患者(HLA-A24, A31, DRB1 14:54, DRB1 15:02)末梢血から、M3R反応性Th1細胞(IFN-γ産生)をフローサイトメトリー法を用いて分離し、35個のクローンを樹立した。 2)1)で樹立した5個のTh1細胞クローンに山中4因子をセンダイウイルスを用いて遺伝子導入し、7個のT-iPS細胞株をさらに樹立した。 3)樹立したT-iPS細胞が有するTCR遺伝子が、iPS細胞化する前のTh1細胞クローンと同一の再構成したTCRVβ遺伝子、TCRVα遺伝子であることをsequence法で確認した。 4)T-iPS細胞からSac法を用いてCD34+細胞を誘導し、GM-CSF/M-CSFで14日、次にGM-CSF/IL-4で7日刺激を加えることで、DC細胞への分化誘導に成功した(Stem Cell Reports 2017)。この細胞を用いることにより、T-iSP細胞のin vitroにおける分化誘導に使用することが可能となった。 5)T-iPS細胞をin vitroでCD34+CD43+細胞に分子誘導し、NSGマウスに細胞移入することで60日目のマウス末梢血においてヒト由来CD4+T細胞への分化を確認できた。現在、そのCD4+T細胞の表現型などを解析中である。
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