研究課題/領域番号 |
17K09970
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高取 宏昌 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (30568225)
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研究分担者 |
廣瀬 晃一 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任教授 (90400887)
鈴木 浩太郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (90554634)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自然リンパ球 / IL-33 / 関節炎 / 関節リウマチ / 脊椎関節炎 |
研究実績の概要 |
関節リウマチ (RA) は治療法の進歩により予後が改善されたが、依然無効例も多数存在し、病態のより詳細な解明が望まれる。近年、自然リンパ球(ILCs)が同定され免疫システムにおける重要性が示唆されている。RA症例の末梢血単核球(PBMC)中にILCsが増加していること、RA症例の血清中や滑膜組織でIL-33濃度が高いこと、また、IL-33/ST2経路の遮断により関節炎モデルマウスの重症度が低下することが報告されており、ILCsにおけるIL-33/ST2シグナルの増強が自己免疫性関節炎の発症や増悪に何らかの役割を果たしていることが推測される。そこで本申請研究ではIL-33刺激によりILCsで発現しRAの疾患活動性と相関する遺伝子を見出し、ILCsの分化やサイトカイン産生における役割と自己免疫性関節炎の発症における役割を明らかにすることで、IL-33/ST2/ILCs軸の制御によるRAの新規治療戦略基盤を構築することを目的とした。RA患者79例のPBMCのDNAマイクロアレイ解析において疾患活動性と発現が相関する遺伝子と、IL-33刺激によりマウスILCsで有意に発現誘導される遺伝子を網羅的に比較解析し両群で共通する候補遺伝子を抽出した。 その後、RAや脊椎関節炎(SpA)症例のPBMC30mlから約30000個のLin-IL-7Ra+ILCsサブセットを単離し、候補遺伝子の発現レベルを解析した。また、それらの発現レべルと様々な臨床指標との相関を解析した。RAやSpAの疾患活動性が高い症例においては末梢血中のNkp44+ ILC3の分画が増加している傾向を認めた。さらに、関節超音波検査にて付着部炎像が著明な症例においては、末梢血ILC3が増加している例も存在していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RA症例とSpA症例の末梢血におけるILCsとともにマウスの各臓器におけるILCsの同定は順調に施行することができ、単離による解析が可能となってきているため研究は概ね順調に進展していると考える。しかし、RA症例とSpA症例の症例数が不十分であり研究の完成が一部遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
A) RAやSpAの症例数を増やし、PBMCsからILC3sを単離し、ILC3sの細胞数と、DAS28-ESRなどの疾患活動性、関節エコーやMRIなどの画像所見、CRP, MMP-3、抗CCP抗体、RFなどの血清マーカー所見との関連を解析する。B) 単離したILC3sにおいて候補分子の機能を阻害した際のサイトカイン産生に対する影響を解析する。C) 単離したILC3sをin vitroでIL-33添加により刺激した際の遺伝子発現やサイトカイン産生に対する影響を解析する。 上記を速やかに遂行し研究を完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
RAの病態への関連が推測される候補遺伝子の全身性遺伝子欠損マウスが入手できず、また造血細胞特異的に候補遺伝子を欠損するマウスを作製することができなかったため。 次年度使用額は、これらの遺伝子改変マウスの入手や作製、並びに遺伝子発現や関節炎の病態解析の費用として使用する予定である。
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