研究課題
関節リウマチ(RA)は治療法の進歩により予後が改善されたが、依然無効例も多数存在し、病態のより詳細な解明が望まれる。近年、自然リンパ球(ILCs)の存在が同定され免疫システムにおける重要性が示唆されている。RA症例の末梢血単核球(PBMC)中にILCsが増加していること、RA症例の血清中や滑膜組織でIL-33濃度が 高いこと、また、IL-33/ST2経路の遮断により関節炎モデルマウスの重症度が低下することが報告されており、ILCsにおけるIL-33/ST2シグナルの増強が自己免疫性関節炎の発症や増悪に何らかの役割を果たしていることが推測される。そこで本申請研究ではIL-33刺激によりILCsで発現しRAの疾患活動性と相関する遺伝子 を見出し、ILCsの分化やサイトカイン産生における役割と自己免疫性関節炎の発症における役割を明らかにすることで、IL-33/ST2/ILCs軸の制御によるRAの新規 治療戦略基盤を構築することを目的とした。RA患者79例のPBMCのDNAマイクロアレイ解析において疾患活動性と発現が相関する遺伝子と、IL-33刺激によりマウス ILCsで有意に発現誘導される遺伝子を網羅的に比較解析し両群で共通する候補遺伝子を抽出した。 その後、RAや脊椎関節炎(SpA)症例のPBMC30mlからLin-IL-7Ra+ILCsサブセットを単離し遺伝子発現の検出を試みた。また、RAやSpAなどの自己免疫性関節炎の末梢血における各ILCs数を測定し、関節エコーを用いて疾患活動性スコアと末梢血ILCs数との関連を解析した。本研究により、RAやSpAなど自己免疫性関節炎の発症におけるILCsの役割が明らかになることが期待される。
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Clinical Rheumatology
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