研究課題
全身性エリテマトーデス(SLE)に合併するループス腎炎では、糸球体上皮細胞(ポドサイト)がその発症に重要な役割を果たしている。物理的バリアとしてのポドサイトの役割は解明されつつあるが、免疫学的機序によるポドサイトの機能変化についてはこれまで詳細に検討されていない。我々はSLEをはじめとする自己免疫疾患に関与するsignaling lymphocyte activation molecule (SLAM) signalingに着目し、SLAM family(SLAMF)の中でSLAMF6がSLEモデルマウスMRL/lprのポドサイトで有意に発現が亢進していることを見出した。さらにループス腎炎患者及びMRL/lprマウスの腎組織におけるnephrin(ポドサイトマーカー)陽性細胞は対照群と比較して軽度減弱しており、nephrin陽性細胞においてSLAMF6発現は亢進していた。フローサイトメトリーによる検討では、16週齢のMRL/lprマウスにおけるnephrin陽性細胞数は、対照群と比較して減少していたがnephrin陽性細胞におけるSLAMF6発現の割合は有意に高値であった。また腎臓、脾臓由来のCD4+Tリンパ球で、対照群に比して、SLAMF6の発現が亢進していた。さらにループス腎炎患者から分離したIgGをヒト培養ポドサイトとともにインキュベーションするとSLAMF6発現が誘導されていた。SLAMF6はセルフリガンドとして細胞内シグナルを伝達することが知られている。ループス腎炎の病態において、ポドサイトはCD4陽性T細胞とともに高発現しているSLAMF6を介して、細胞内シグナルに変化をもたらし、腎機能障害に関与している可能性がある。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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