研究課題
個別化医療への検討として、IgG4関連疾患7例に生物学的製剤が使用されていた。ファーストバイオは、リツキシマブ(RTX)が3例、アバタセプト(ABT)1例、トシリズマブ(TCZ)1例、メポリズマブ(MPO)2例であった。RTXは全例当初は有効であったが、2~4年後に二次無効となり、ABTに変更になった。1例を除き、継続されていた。その1例はABTは一次無効と判断され、ベリムマブ(BLM)に変更され、現在ステロイド減量中である。初めにABTが使用された症例は有効であった。MPOを開始した2例は1例は一次無効であり、ABTにスイッチされ継続されている。もう1例は合併する喘息症状は改善、IgG4値もやや低下したが効果は限局的であった。TCZは合併する関節炎に対して効果を示したが、途中で脳出血を併発し、中断された。RTX一次無効例がなかったため、直接的に有効性を予測する因子の検討はできなかったが、治療反応良好(その後の治療によりプレドニゾロン5mr以下で寛解維持)群と比較し、RTX治療群で治療前血清IL-13、IL-15、TNFαが高い傾向を認めた。ファーストバイオにてRTXとABTを比較するとABT投与症例で、血清IL-13、IL-15が高値を呈した。またABT投与における一次無効と有効例を比較すると、有効例でIL-13、IL-15が高かった。MPOの有効性の検討では、今回測定したサイトカイン・ケモカインではIL-5を含め、差を呈していたものは認めなかった。以上より、IgG4関連疾患では病変の拡大とともに血清・組織中のサイトカイン・ケモカインの環境は変化することが判明した。治療前血清IL-13およびIL-15が高値であれば、RTX、ABT双方の効果が得られる可能性が示唆された。
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Modern Rheumatology
巻: 29 ページ: 856-857
10.1080/14397595.2018.1526357.