研究課題/領域番号 |
17K09983
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
千葉 麻子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40532726)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 全身性エリテマトーデス / ループスモデル / MAIT細胞 / 自己抗体 |
研究実績の概要 |
Mucosal-associated invariant T(MAIT)細胞はヒトの末梢血T細胞の5%を占める大きな細胞集団であり様々な免疫応答において重要な役割を担うと推察される。我々は全身性エリテマトーデス(SLE)患者において、MAIT細胞は患者末梢血中で減少するものの、その活性化状態は疾患活動性と相関することを報告した。このことより、MAIT細胞はSLE病態に関与している可能性が示唆された。本研究では、SLE動物モデルであるループス自然発症マウス (FcγRIIB-/-Yaaマウス)を用い、ループス病態におけるMAIT細胞の役割を解明し、MAIT細胞を標的としたループス病態制御の可能性について検証することを目的とする。 FcγRIIB-/-YaaマウスとMAIT細胞が存在しないMR1欠損(MR1-/-)マウスを交配し、MAIT細胞の存在がループス病態へ及ぼす影響を検証した。FcγRIIB-/-Yaa MR1-/-マウスでは同腹のFcγRIIB-/-Yaa MR1+/+マウスに比較し生存率の改善と自己抗体産生の減少を認めた。腎臓の病理組織学的な評価からMR1欠損によりFcγRIIB-/-Yaaマウスのループス腎炎軽症化が確認された。FcγRIIB-/-Yaaループスマウスの脾臓におけるB細胞をフローサイトメトリー法により解析したところ、MR1欠損により胚中心B細胞や形質細胞、濾胞ヘルパーT細胞の数や活性化状態が低下していることが明らかとなった。また、脾臓や腎臓における自然T細胞およびT細胞の活性化状態およびサイトカイン産生能もMR1欠損により低下していた。SLE患者およびループス腎炎マウスの腎臓組織にMAIT細胞が多く浸潤していいたことから、MAIT細胞な炎症組織に浸潤しすることでもループス病態に関与していることが考えられた。MAIT細胞の活性化を抑える化合物(MR1リガンド)を合成しループスモデルマウスに投与したところ、自己抗体産生および腎炎の重症化が抑制されることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に予定していた計画のうち他のループスモデルマウスでの解析を行うことができなかったため、平成31年度に予定していたMR1リガンド投与の効果の検証を行った。 皮膚炎は老齢マウスにのみ発症が見られたため、今年度は腎炎病態を優先に解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までにMR1欠損マウスやMR1リガンドを用いて得られた結果について、今後はその詳細なメカニズムについての解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた皮膚炎病態および他のループスモデルの解析を次年度に変更したため、病理組織解析、フローサイトメトリー法解析等に必要な試薬、ループスマウスを次年度に購入することにした。
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