研究課題
MAIT細胞の欠損によりループス モデルマウスの病態が抑制されたため、MR1リガンドを用いてMAIT細胞の活性化を抑えることでループス 病態を制御可能か検証を行った。MAIT細胞の活性化を抑えるMR1 リガンド(i6-FP)をループス モデルマウスに週3回経口投与したところ、4週間後の血清抗 dsDNA 抗体値はコントロール群に比べて低下した。また、i6-FP 投与により糸球体腎炎の組織学的重症度スコアも低下した。i6-FP投与ループスマウスでは、MAIT 細胞だけでなく他の T 細胞の活性化も抑制されていた。抗体産生に関わる胚中心細胞、形質細胞、濾胞ヘルパーT 細胞の数が減少しており、特に胚中心細胞や形質細胞は活性化細胞の割合も低下していた。自己反応B細胞応答におけるMAIT細胞の役割を調べるため、B細胞とMAIT細胞の共培養実験を行った。ループスモデルマウスより B 細胞を単離し lipopolysaccharide (LPS)で刺激すると IgG 抗体、抗 dsDNA 抗体が産生されるが、MAIT 細胞を添加することにより産生抗体量が増加した。またMAIT 細胞による自己抗体産生促進効果は i6-FPの添加により阻害された。以上の結果より、MAIT 細胞は自己抗体の産生や組織炎症を促進することによりループス病態の増悪に作用することが示唆されたた。また i6-FP を用いて MAIT 細胞の活性化を抑制することでループス病態が改善したことより、MAIT 細胞は SLE などの自己免疫疾患において治療のターゲットとなる可能性が考えられた。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Frontiers in Immunology
巻: 10 ページ: 2681
10.3389/fimmu.2019.02681