本研究の目的である筋炎関連間質性肺炎における高フェリチン血症のメカニズムを解明するにあたり、患者単球を用いて、miRNAおよびmRNAによるアレイ解析を行った。健常者と比較して、統計学的有意に発現低下したmiRNAと発現亢進したmRNAを同定することができた。その後、miRNA-mRNA統合解析を専用データベースソフトウエア(Ingenuity Pathway Analysis)を用いて、行った。その結果、7つの既存の病態パスウエイと関連していることが明らかとなった。さらに、regulator effect network解析にてそれらのパスウエイと密接に関連している上流の制御因子を4つ同定し得た。また、サイトカインAとBも、これらのパスウエイ活性化と関連していることを明らかにした。 患者検体を用いて、治療前後にて7つの既存の病態パスウエイと関連した単球内の遺伝子発現および血清中サイトカインAとBを測定した。これらは、血清フェリチン値とともに低下を認めた。 本研究成果として、筋炎関連間質性肺炎におけるフェリチン高値をきたすマクロファージの活性化に関与する病態パスウエイを同定し、治療指標となる新たなバイオマーカーを見いだすことができた。 上記の研究成果より、本疾患に対する新規治療薬の候補となり得る薬物が、複数存在することが明らかとなったため、今後、治療開発に向けた研究を進めていく予定である。
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