研究課題
近年著増しているアレルギー疾患の本態は、抗原特異的Th2応答である。抗原に感作された(=抗原特異的なエフェクターメモリーTh2細胞が誘導された)個体が抗原に再暴露されると、エフェクターTh2サイトカインであるIL-5やIL-13が過剰に産生され、アレルギー性炎症が惹起される。最近、その増強因子として、上皮細胞から産生されるIL-33が注目されている。IL-33は、肺など外界に接する臓器の上皮細胞に恒常的に発現し、アレルゲンが持つプロテアーゼ活性等で上皮細胞膜が傷害されると速やかに細胞外に放出される。放出されたIL-33は、エフェクターメモリーT細胞の中でもIL-5/IL-13産生を選択的に行う病原性Th2細胞(Tpath2)に作用してIL-5/IL-13の産生を増加させ、アレルギー性炎症を増強する。申請者は、マウスの肺上皮細胞とTpath2の両方で発現するRab27エフェクター蛋白質としてExophilin5 (Exo5)を同定し、本研究で、そのIL-33シグナルにおける役割を解析した。その結果、マウスにおいて、①Exo5が肺上皮細胞膜の恒常性を維持し、刺激に応じた肺上皮細胞からのIL-33の過剰な分泌を制御していることや、②Exo5が、Tpath2細胞において、抗原刺激時に生じるNADPH oxidase NOX2の細胞内輸送を正に制御することで、抗原刺激時のIL33受容体の発現増加を防ぎ、IL-33依存的なIL-5/IL-13の過剰産生を抑制すること、③逆に、Exo5の欠損は、上皮細胞からのIL-33分泌やTpath2のIL-33反応性を亢進させ、複数のマウス喘息モデルにおいてIL-33依存的にアレルギー性気道炎症を増悪させること、を見出した。以上の成果は、国際的一流誌であるJournal of Clinical Investigation 誌に掲載された。
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Journal of Clinical Investigation
巻: - ページ: -
10.1172/JCI127839
http://molend.showa.gunma-u.ac.jp/